第58話 「ファランクスを完成させた名将」エパメイノンダス

 最初にエパメイノンダスという表記は某ゲームについて書いた元記事だったため、ゲーム内表記に合わせたためです。個人的にはエパミノンダス表記のほうが好きです。


 テーベの将軍であったエパメイノンダスは、ギリシャ世界の伝統的な戦術「ファランクス」に画期的な戦法を導入する。


●ファランクス(密集重装歩兵隊)

 ファランクスは重装歩兵を横長の長方形に並べて、密集隊形を組み、敵の盾となるとともに、その頑丈さを生かしそのまま敵を押し切る仕組みになっている。対ペルシア戦争で威力を発揮した。


●斜線陣戦法

 エパメイノンダスが提案し、実証した戦法。詳しく説明するには図解が必要なので簡単に。

 従来のファランクスは例えるなら、硬い鉄の塊であって、非常に硬いが柔軟性に欠ける。簡単にいうと、エパメイノンダスの斜線陣戦法はファランクスに柔軟性を持たせた。

 さらに、主力に非常に厚いファランクスを持たせ、それと斜め後ろになるように薄いファランクスを張り、敵を主力が押さえている間に、斜め後ろの部隊が敵を挟撃するという特徴があった。この戦法はフィリッポス、アレクサンドロス親子の下で力を発揮し、エパメイノンダスのテーベ国を滅亡させたのは皮肉な歴史である。


 前370年代、スパルタがアンタルギタスの和約を盾に全ギリシャの支配権を持っていた。

 この時代、エパメイノンダスとペヒタロス両名によって、急速に力をつけてきたテーベに対し、スパルタはテーベのボイオティア支配をやめさせるために、テーベと交渉したが、エパメイノンダスはこれを拒否。これをもって、スパルタはアテネと協力してテーベに攻め込む(前371年)。


 ここで起こった戦争がレウクトラの戦いと後世に記述されている。

 よく訓練された、ギリシア一のスパルタファランクス。

 一方テーベも非常に優秀ではあるが少数の「神聖隊」という部隊をもっていた。

伝統的なファランクスを組むスパルタに対し、エパメイノンダスは斜線陣戦法を使い、スパルタを挟撃する。

 見事作戦は成功し、テーベはスパルタに勝利したのだった。


●神聖隊

 神聖隊、これは禁断の精鋭達。彼らは身を寄せ合い。愛する者同士で構成されていた愛の部隊。味方が傷つかないようにお互いに守り、攻め。夜ももちろん守り、攻める。これぞテーベの最高戦力。テーベが一時ポリスの覇者になれた原動力。

 え? 神聖隊のメンバーですか? 全員「男」ですが?


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