第34話 テンプル騎士団

●テンプル騎士団の成り立ち

 十字軍によって形成された国家であったエルサレム王国国王ボールドウィン二世によって、ソロモン神殿の近郊に、エルサレムをイスラム教徒の手から守るために結成されていた宗団に、宿舎を与えた。

 これが、テンプル騎士団のはじまりで、聖堂を守る騎士団からきているらしい。

1128年にはローマ法王から認可され、テンプル騎士団はベネディクト修道会の指揮下に置かれる。

 これがテンプル騎士団のはじまりとなる。


●テンプル騎士団の様子

 長い髭を生やし、赤十字の刻まれた白い服を身にまとい、ロングソードとロングシールドを装備した姿であったという。

 組織はピラミッド型となっており、下からそれぞれ「ノビス(新入団者)」「プロフェスト(誓約者)」「ナイト」となっている。

 もちろん団員は男性のみ。


●テンプル騎士団の拡大

 異教徒から勇敢にも聖なる都を防衛するという彼らの姿は、キリスト教地域各地で熱狂的に受け入れられ、感銘したお金持ちの王侯貴族より莫大な寄付が集まった。

 13世紀にはフランス・イタリア地域・スペインなどに支部を持つようになり、広大な修道院領を保持するまでになった。

 豊富な財力を背景に金融業にも手を出し、信用と財力を元に国王を上回るほどの財力を築いたのだった。

 特にフランスでは、1万ちかくもの拠点を有し、フィレンツェのメディチ家のように国王にまで金を貸付るまでになった。

 実はテンプル騎士団の金融業が、近代の経理技術の基礎を築いたといわれている。

法王領内の公金の取り扱い、遠隔地への送金、貸し金庫などなどの仕組みをつくりあげ、その大部分を取り仕切っていた。


●テンプル騎士団の最期

 あまりに拡大しすぎた金融業は、各国の権力者から次第に疎まれるようになってくる。

 14世紀のフランス王フィリップ4世は、当時赤字だったフランス国庫を充実させるには、テンプル騎士団の財産を全て没収してしまうのが手っ取り早いと考えそれを実行に移すべく手をうつ。(なんという王様・・・・)

 フィリップ4世は法王クレメンス5世に働きかけ、テンプル騎士団狩りを容認させると、宰相のノガレにテンプル騎士団狩りを命じる。

 ノガレはフィリップ4世の期待に応え、罪のないテンプル騎士団員らを次次に捕らえ、体に無数のクサビを打ち込まれるといった残酷な拷問にかけた後、火あぶりにして処刑した。

 その数は5年で54名にも登ったという。


 次に、法王クレメンス5世は15000人にも及んだ騎士や多数の団員を擁したテンプル騎士団を教書によって解散させ、それと同時に彼らの莫大な財産を全て没収し、騎士団長ジャック・ド・モレーは火あぶりに処されたのだった。

 1314年3月のことであった・・・・。

 こうしてテンプル騎士団は国家権力によって非業な最期を遂げた・・・・。


 モレーは火あぶりになる直前、


「私はフランス王とローマ法王に、今年中に神の法廷への出廷を命じるだろう」


 との言葉を残した。

 その言葉どおり、フィリップ4世もクレメンス5世もその年の間に亡くなった・・・。

 「余は呪われている」という言葉を残して。


 続いてテンプル騎士団のゴシップ

●フランス宰相ノガレがかけた嫌疑

 宗教儀式にかこつけて、十字架を踏みつけ、キリストを否定してる。


 ・・・さすがにこれは・・・、テンプル騎士団はベネディクト修道会系なのでこれは根も葉もない噂ですね。


●いくつかの神秘的な秘儀があった

 鷹の巣アラムートの暗殺集団とつながりがあり、彼らから神秘的な秘儀を伝えられていた。


・・・アラムートにつきましては、第28話 謎の暗殺集団を参考にしてください。これも言いがかりに過ぎなさそうです。


 これの根拠となったのが、

・テンプル騎士団はアラムートと激しい戦いをした結果、つながりができた。

・アラムートの階層「ファダイ・ラフィク・ノビス」の階層は、テンプル騎士団の「ノビス・プロフェスト・ナイト」にそのまま相当する。

・ともに赤と白の二色をもちいていた。


 ・・・・うーーん・・・。具体的な秘儀が何なのかわからない上に、こじつけすぎる。


●妖しい入団儀式

 入会者は部屋に入ると服を脱いで裸になる。水で全身を洗い清め、宗団の掟を守ることを誓約し、団員の質問にひととおり答えてから、バフォメットの偶像(これはサバトの悪魔)にお祈りをしてから、宗団の長老(男)から接吻を受ける。

 接吻は口やへそだけでなく、如意棒にまで行われる・・(あうあう)。


 ・・・バフォメットの像はともかく、男色系の儀式があっても不思議ではないかと・・は思います。

 男色系ネタでは・・さらに、


●印章

 一頭の馬に二人の騎士が乗っかっている印章・・・。うーむ深い意味がありそうだ・・。

 また、男色を強制されていたという事実もあるらしい。


※補足

◆バフォメットの像

 両性具有の姿で、サバトの王・・地獄の辞典ではレオナールに当たる。

◆レオナール

 第1階級の魔人。サバトの総帥。下級魔人の長。

 魔法や黒魔術、魔法使いたちの総監督官。

 長身の牡山羊の姿でサバトをとりしきる。角は3本で、両耳は狐、髪は逆立ち、目は丸くてぎらぎらし、山羊ひげをたらし、臀部にも顔がある。

(地獄の辞典の記事から抜粋)


※補足2

◆男色について

 男色はイスラム世界のハーレムでは普通だったが、男色がヨーロッパで流行しだしたのは、一説では、十字軍だと言われている。

 当時、遠征の地では恐ろしい性病がはやっているとまことしやかにささやかれ、これを恐れた十字軍兵士は、欲望を満足させるために男色にはしったというそうだ。

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