第29話 ノストラダムス
今回はかの有名な?ノストラダムス師について書いてみようと思います。
ノストラダムスといえば、日本で有名なのはミシェル・ノストラダムス師の予言集・・・。(自分の書籍に師とかつける時点でどうかと思いますが・・・)
代表的な詩を一つみてみましょう。
偉大なシランが世界の首領になるだろう。
より遠くへと愛され、恐れ慄かれた後に。
彼の名声と称賛は天を越え行くだろう。
そして勝利者という唯一の称号に強く満足する。
某氏の解釈によると・・・・、
緯度48°線上にあるアメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、中国、ロシア、日本の7箇国から偽の救世主が誕生する。その救世主は、ピラミッドに保存された人間のDNAを復活に由って作られている。偽の救世主はサブリミナルメッセージを使って人類を洗脳しようとしている。
となり・・・、恒例の・・・
「なんだってーーーーー!!」
となりますが・・・、
実際のところ、ノストラダムスが書いた予言めいたものは当時のフランス国際情勢の自分なりの意見を述べたり、彼の時代の少し前のフランスや周辺国について述べたものがほとんどです。
では、この詩はどんな意味だったのかが有力なのかというと・・、
・シラン(Chyren)=アンリ(フランス王)
・より遠くへ(Plus oultre)=カール5世(神聖ローマ皇帝兼スペイン王)
当時の世相として、フランスはカール5世(スペイン・神聖ローマ帝国)に囲まれる形になり、脅威を感じ、打倒ハプスブルクへ向けて動いていました。
そういった世相を反映して、フランス人であるノストラダムスの展望が書かれている詩となります。
偉大なるアンリ二世は、世界の王となるだろう。(スペイン・神聖ローマ帝国の脅威をはねのける)
カール5世が西欧に名を馳せ、(特にフランスに)恐れおののかれた後に。
アンリ二世の名声と賞賛は天へと登るほどになる。
そして、勝利者という称号に(フランスと)アンリ二世は満足する。
となります。
こういった予言集が日本では有名になったノストラダムスですが、実際のところ彼はどんな人物だったのでしょうか・・?
◆ノストラダムスの簡単な経歴
ノストラダムス(1503-1566)は、フランス生まれで、アヴィニョン大学教養課程を卒業後、後にモンペリエ大学医学部を卒業。
その後、スカリジェに招かれアジャンという都市で医者家業に精を出す。アジャンで結婚をし子供を儲けているが、後に妻子はペストで死亡したと言われている。(真偽は定かではない)
そのショックからか放浪生活を送り、南仏へ遍歴することに。
マルセイユでルイ・セールという医者を師事したり、囚人を診察したりしながら凄すこともあり、同じく南仏の都市エクスで敵である?病ペストが流行したときに、ペストに立ち向かったりした。
(伝説にあるように完璧な治療・根絶を行ったという根拠はないです。不治の病ペストに感染することも恐れずに立ち向かったということだけは事実のようです。)
その後、1550年から17年間毎年「暦書」と呼ばれる1年間の占いの本を出し、これが多いに売れたことで有名になりその後は占星術師としてうさんくさい予言を施したりしている。
当時から予言の的中率はよくなかったらしく、いろいろな人から苦言を呈されていたようだ。
医師としての活動も占星術師としてがんばる傍ら続けていたようでいくつかのノストラダムスによる診察の記録が残っている。
■医師としてのノストラダムス
医者としてはアジャンで医師のキャリアを積み始めてから精力的に活動しており、 一定の評価はなされている。腕はともかく、感染すると死が免れないペストに対し勇敢に立ち向かったプロ意識が非常に高い医者だったようである。
・「化粧品とジャム論」
化粧品とジャム論というタイトルを見ると、医学について何も書かれていないように思えますが、この本は二部構成になっており、前半が薬品の処方箋について。後半がジャムのレシピについて書かれています。
前半部には衛生法やペストの治療薬について書かれていますが、治療薬については現在の研究結果から効果はないものとされています。
■占星術師としてのノストラダムス
暦書は好評を博し、17年にわたって毎年刊行されていますが、大衆は当たるも八景当たらぬも八景といった様子で読んでいたようです。
現在で言うところの、占い本みたいなものですので一定の需要はあったかと。
中にはフランス王妃かトリーヌのような熱狂的なファンもいたようで、王侯貴族相手に占いをしたりして好評を博したようだ。
こういったことを見ていきますと、勇敢な医者としての側面と怪しげな占い師としての側面の両面を持つ人だったみたいですね。
当時から占いに関しては懐疑的だった様子で、一部熱狂的ファンがもてはやした・・というのが占いに関する事実に近いような気がします。
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