第24話 スコットランドの食人集団(残酷描写有)

 この記事のため、残酷描写有を加えました。


 時は15世紀スコットランド。世界は中世封建制の限界を感じ始め、ポルトガルとスペインはレコンキスタを完了させようとしていた時代。すなわち、大航海時代が始まる直前のお話である。


 今回の主役ソニー・ビーンはスコットランドの田舎で生まれたが、生来の粗暴な性格と社会性のなさのため、定職につくことができず、そうそうに実家を飛び出し放浪の旅にでる。

 放浪中にビーンとよく似た性格の女性と出会い、彼らは一緒に暮らし始めるのだが・・・その住居に選んだ場所がおそるべきものであった。


 その住居とは・・・・

 全長1.6キロもの長さを持つ洞窟!しかも、満ち潮のため二日に一回は水没してしまうという悪辣な環境だった。

 この水没してしまう洞窟に住んだためにビーンらは、長年逮捕されずにすんだのだが・・・。


 住居を構えたビーン夫妻が生活の手段として選んだのが強盗殺人! で、村と村をつなぐ人通りの少ない細い道で待ち構え、憐れな旅人になれた手で襲い掛かり、所持品を強奪し、殺害するというものだった。

 その所持品を持ち帰ったビーンは、現金に変えれる衣類・宝石類は足がつくと考え洞窟に放置し(この辺は用心深い・・)、現金のみを生活費にすることにした。

 しかしながら、わずかな現金だけでは、生活に窮乏し食料さえもままならず、飢えに苦しむことになってしまう。

 そこで、ビーンはおそるべきアイデアを思いついたのだ!


「せっかく殺した人間の体をなぜ利用しないんだ?新鮮な肉を無駄に放置する必要はないじゃないか!」


 こうして・・・ビーンの殺人・強盗・食人の生活が始まることになる・・・。


 こうして、強盗・殺人・食人を繰り返したビーン夫妻は、食糧問題を解決し、どんどん子供を増やして行く。

 その子供たちも大きくなると父の手伝いをし始め、いつしか一大殺人集団になっていたのだった。


 25年に渡り彼らは殺人を繰り返し、その一家の数は8人の息子・6人の娘・32人の孫になり、総勢50人もの大家族になっていたのだ!

 この地方を旅する者が次々と姿を消すので、村ではさまざまな噂が立った。しかし一人としてビーン一族から逃げおおせた者がいなかったので、彼らの存在は知られることがなかったのだ。


 これをいいことに、ますます殺人を繰り返したビーン一族は、食糧となった人肉が余るまでになっていた。腐ってきた塩付けの人肉を彼らは海に投げ捨てたりしたので、海岸線には塩付けの手足が流れ着き人々を恐怖に陥れることに・・・。

 さすがに、人の手足が発見されると(しかも塩付けされていたので、明らかにそれを食べている者がいる!)、もはや神隠しとか行方不明ではすまされず、本格的にこの一連の事件について捜査が開始されるも、二日おきに水没する洞窟にまさか人が住んでいるとは誰も気がつかずに、発見されないまま月日が過ぎてしまう・・・。


 こうして、25年もの間彼らが発見されることがなかったのだ。しかし、25年目にして、彼らの恐れていた獲物の逃走が起こってしまう。

 彼らが通りがかりの夫婦を襲ったところ、妻のほうはあっさりと仕留めたのだが、その直後に犠牲者の腹を割き、内臓と取り出して運び去る準備をしてしまう。それをまじまじと見てしまった夫は、あまりの残虐さにパニックとなり、暴れに暴れちょうど通りかかった旅行者の一団に助けられ逃げおおせたのだ。


 この逃亡できた男の証言は、スコットランド国王の元にまで届き、国王みずからが400人の兵士とブラットバウント犬を引き連れ、彼らの捜索にあたった。

 犬の鋭い嗅覚は、洞窟を見事に発見し、中に潜んでいたビーン一家を一網打尽にすることに成功。こうして捕らえられたビーン一家を待っていたのは、幼児・子供を問わず裁判なしでの処刑だった。

 その処刑は凄惨なもので、まずは一家の男たちが手足を切り落とされゆっくりとなぶり殺しにされた。それを女たちに見せ付けたあとに、女たちは火あぶりにされた・・・。

 しかしながら、一家は自分たちの犯した罪を悔い改める様子は少しもなく、死ぬ寸前まで呪いの言葉をあげつづけたという・・・。


 参考資料によると、ビーン一家は一族の共食いは一切なかったらしい・・・。


 自分たちと食糧となる人間の区別はどこかでつけていたということか・・・。

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