第13話 愛の営みの変遷(お下品です)

 マルセイユの酒場の片隅に、ほろ酔い気分の航海者が一人......生ハムを肴にビールを傾けている......

 賢明な読者は彼を覚えているだろうか......?

 そう、彼の名はチャッピー! くだらないことに情熱を傾ける微妙な人材だ!

 今日もまた酔っ払いながら役に立たない雑学を語りだしたようだ......


 よお、あんたか久しぶりだな!

 ん? 新大陸に行ってきただと?よくもまああんな大変なところに行ってきたな。


 まあすわれよ。


 一杯どうだ?


 あ、俺のおごりじゃないからな! 金ないんだよ!


 え? おごってくれるのか。そらありがてえ。


 ん。そのかわり何か暇つぶしに話してくれだと?


 よっし。


 んじゃ今日は、ベットの話だ......


 ●ベットの変遷

 古代ローマ時代・古代エジプト時代のベットといえば、ワラをたばねただけの小鳥の巣のような寝床といった粗末・簡素なものだった。

 このころから寝具は全く進歩せず、中世になっても使われていたものは、革を編んだ粗末なベットにワラを敷き詰めただけだった。

 それが進歩しだしたのは、ようやく十字軍の時代になってからであった。彼らがイスラム圏から持ち帰った天蓋付のベットは「十字軍ベット」と言われヨーロッパ全域で大流行することになる。


 なぜって?

 それは、天蓋付のベットだと外からは中で何をしてても見れないから!

 こうしてようやくベットの中で愛の営みを行うことが始まったのである。


 しかしながら、騎士ともなると話は違う。いつなんどき敵から襲われるかわからなかった主君や自身を守るために、ベットの側には一晩中明りをたき、奇襲にそなえた。

 そんな彼らのベットはベットボートが背もたれのように高くなっていて、そこにもたれかかって寝るように出来ていた。

 これも用心のためという理由かららしい......


 中世の貴族様がたでもこんな寝床だったもんだから、庶民の寝床なんてひどいものだったんだぜ。

 同じ部屋の同じベットで折り重なるように何人も寝たもんだから、ネマキに着替えるときでもご婦人方は、他の人に見られないようにベットに入ってから着替えたもんだ。


 ん? のぞきたい放題じゃないかって?


 んーーー。



 残念ながら暗くてなんもみえねええええええ!!


 しかもこのベット、敷布団は布にワラを詰めただけで、掛け布団も衣類に耐えないボロ布を組み合わせただけのもんだから、居心地がわるいったら。

 しかも狭いから、足伸ばせねえわ、個室がないから落ちつかねえわで。


 とてもじゃないが、こんなとこで愛の営みなんてできねえよな!


 ん、んじゃあどこでやったんだって?


 それは、外だ外! 麦畑の中でひっそりアンアンギシギシしてたんだよ!!


 のぞかれないかって?


 のぞこうと思えば......


 え? 俺がのぞいたんじゃないかって?


 んな野暮なことはしねえ。


 あ、一つ言い忘れたんだけど、愛の営みは昼間にやったんだぜ!


 ん? 何だよ? 何か言いたそうだな?


 ああ、わかったよ......




 明るいから見たい放題!!!


 って言いたいんだろ!!!


 少しよったようだ......

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