第4話 元老院に就職するには

 今回は就職活動をはじめようとするあるローマ人と彼の先生のお話です。

 物語は時代考証もバラバラなとんでもないフィクションですが、雰囲気だけをお楽しみください。


・登場人物

('A`)――そろそろ就職しようと思ってるあるローマ人

(´・ω・`)――あるえろいギリシャのソフィスト(当時の知識人ですね)


 紀元前130年ごろ、古代ローマでの就職事情は......


('A`)「先生。楽して、終身雇用で、女にもてて、金もいっぱいもらえる職ってないですかね?」


(´・ω・`)「ぶちころすぞ。そんな職......」


('A`)「さすがにあるわけないですよねー」


(´・ω・`)「あるよ」


('A` )「なんですと!」


('A` )「して、それはどんな職で......」


(´・ω・`)「元老院議員になることだ」


※元老院議員のいいところ

・終身議員(つまり一度なったら自分で辞めるまでずっと議員)

・実質的にローマの国政を牛耳れる(すなわち、権力者。女にモテモテ。金もわんさか)

・仕事もしんどくないよ! ワイン飲んでるだけだし。普段は。


(゚A゚)「なんという素晴らしい職。こんなものがローマにあったなんて」


(´・ω・`)「誰でも知ってると思うけど......。勉強少しはしなさいよ」


('A` )「して、元老院議員になるにはどうしたら?」


(´・ω・`)「いろいろ道はあるけど、てっとりばやいのは軍隊に10年所属して戦いまくることだね。('A` )君いくつだっけ今?」


('A` )「17です」


(´・ω・`)「んじゃちょうどいいね。今からローマ軍へ参加しなさい。それが最も近道です」


('A` )「軍隊はしんどいし、死ぬかもしれないんで嫌です。10年も働きたくないです」


(´・ω・`)「ぶちころすぞ」


('A` )「他に手は無いんですか?」


(´・ω・`)「有力な元老院議員の家柄に生まれて、軍隊へ入ったらかなり率は高いよ。あとは私のように学問に精を出すのも一つの手だけど......、可能性は薄いね」


('A` )「先生。僕家柄も少し......。でも先生の下で勉強に来れるくらいの家ではあります」


(´・ω・`)「わざわざアレクサンドリアまでローマからお勉強に来るんだから、なかなかの家柄だと思うよ。いっそのこと学者になれば?」


('A` )「ずっとお勉強はしたくないです。楽がしたいのです。学者になっても元老院に入れないそうですし......」


(´・ω・`)「わがままな奴だな......」


('A` )「他に手はないんですか?」


(´・ω・`)「ない......いや......ある。楽してなれる手が」


('A` )「最初からそれ言ってくださいよ!」


(´・ω・`)「護民官になることだ。君、平民だっけ?」


('A` )「たしか......プレブス(平民)だったような気もします。でもそんなことごまかせばどうとでもなります」


(´・ω・`)「まあそうだね。で、護民官はどうやったらなれるかしってる?」


('A` )「知ってたら、こんなとこにいません」


(´・ω・`)「ぶちころすぞ。護民官になるには、平たく言えば選挙で当選すればなれる。ローマでの根回しと人望があればなんとかなるんじゃないかな」


('A` )「僕......友達いないんですが......」


(´・ω・`)「............」


('A` )「............」


(´・ω・`)「............私がいるじゃないか......」


('A` )「先生!!!!!!」


(´・ω・`)「('A` )君!!!」


ウホ!


 その後、('A` )は元老院議員になることをあきらめ、アレクサンドリアで親の財産を食いつぶしながら死ぬまで暮らしましたとさ。

 それなりに、(´・ω・`)とウホウホな生活で充実した生活だったようですよ。

 死ぬ間際に('A` )はこんな言葉を残しました。


('A` )「親のすねをかじりつくして、死ぬことこそ本望」

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