第5話 封建制度と絶対王政

●封建制度とは?

 狭義の意味では、封土の授受によって結ばれた主従関係を持つ、階級性社会を示す。

 広義の意味では、荘園制を基礎とする社会組織一般を指す。


 なんのことかわかりませんね......

 それではひとつの例を出しましょう。


 フランク王は西方地域から、現在のフランスに侵入し、そこに国家を作りました。 王は褒美として、部下Aと部下Bと部下Cに征服した土地の一部をあたえます。この与えられた土地が封土といいます。


王「武勲をよくたてたな。褒美に土地(封土)をやろう」


部下「ありがたき幸せ。王に忠誠を尽くし、この土地を守ります」


王「土地は与えるが、わしの役人をそこに派遣するからな。あと、その土地で取れた作物をわしに献上(年貢)するのだぞ」


部下「もちろんでございます」


 最初はこんな感じで、封土をもらった部下はきちんと年貢を納め、役人の派遣も認めていました。この封土を持った者を封建領主といいます。

 また、国が強大になってくるとこんなことも出てきました。


小国の王「現在わが国は外敵の脅威にさらされています。あなたに土地を献上するので、守ってくださいな」


大国の王「わが国の領土になるのか。わかった。そなたが献上した領地は封土としてそなたに与えよう。しっかり年貢は納めるんじゃぞ」


 といった感じで、強国に帰属し、領地を封土として外敵の侵入をまもってもらう者もでてきました。


 次に、戦争のときはどうだったんでしょう。


王「いくさじゃあああ。王の兵は全軍出撃じゃあああ。封建領主も全員兵をだすんじゃああ」


封建領主たち「封土から兵を集めて、王の下にはせ参じます」


 王には王の封土があり、封建領主には封土があります。戦争のときは、それぞれが兵を持ち寄って戦争しました。

 王はともかくとして、封建領主にしてみれば、兵を養うのにもお金がかかりますので、戦時だけお手軽に兵を雇える傭兵がはやりました。

 兵はあくまで、封土ごとに出される兵であって、国内には個人の兵(私兵)はいても、国軍はいませんでした。


 次に、封建制度が進み、封土の自治が進んでくると、富める封建領主と没落する封建領主が出てきます。この時代は血縁関係で身分が決まりましたので、富める封建領主は王族と結婚をして、より権力を強めていきました。

 王にしても、戦争をして勝つたびに封土を部下に与えなければなりません。ただ、年貢は入るし、封建領主の封土には役人を派遣しています。

 しかし、封建領主の自治が進むと、役人の派遣は廃止され、王の権力は弱くなってきました。


 そうこうしている間に、ますます自治が進み、ドイツなどにおいては、一国を治める王がいなくなり、封建領主の選挙によって、王が選出される「選挙王制」が始まります。

 実質的にドイツでは、封建領土=ひとつの国という状態になっていました。フランスでも選挙王制にこそなりませんでしたが、西フランクの王は断絶し、パリ伯が王位を継承していましたが、その領地より巨大な封土をもった領主はたくさんいました。

 あたりまえですが、領主にとっては封土こそ一番に守るべきものであり、国家はその次でした。

 小さな国(封土)が集まって一国(フランス、ドイツなど)を形成している状態で、兵は傭兵が多数では、戦争に強いはずもなく、中世ヨーロッパはもし大規模な侵略にあっていれば、たちまち征服されていたかもしれません。

 そんな感じで小さな封土同士が食い合い、最終的にひとりの王が誕生します。これが強力な中央集権制度である絶対王政です。



●絶対王政が成立した背景

 封建制度のところでは、王様は貴族の貢献に土地をあたえ、自治をさせ、その代わり、有事の際には王の下にはせさんじさせました。

 しかしながら、ヨーロッパ中で商業が盛んになってくると、地方の農業のボスみたいだった貴族たちは、経済活動がないために没落していきます。

 一方、大商人たちは、活発になった経済活動を背景に力をつけてきます。


 これを王様が利用するのです。


――貴族には

王「どうじゃ、わしの元で官僚として働かんか?その代わり土地をわしに献上し、給料をやろう」


 貴族は土地にしがみついていたために、困窮してしまったので、貨幣をいただけるのがありがたいのと、なにより、元々もっていた特権身分を保持できるため、飛びつつきました。また、軍事能力に優れた貴族(騎士)は王の軍として、常時兵役につきました。


――商人には

王「おまえは優れた商人じゃ!もっと稼がせてやるから、税金をおさめい」


 商人は商業特権の代わりに王に賃金を納めます。また、他国との衝突が激化していため、王の軍隊の威を借りることで、自分たちの商業圏を広げようとたくらみ、王に飛びつきます。

 このようにして、没落した貴族と新興の商人たちを取り込んだ王は、絶大な権力を持つことになります。

 こういった、王の巨大な権力を書いたものが「王権神授説」。


●絶対王政の特徴

■常備軍

 封建制度では有事の際に、貴族が軍を率いて戦いましたが、激化する国際情勢は、相手を圧迫する意味でも常時軍隊を維持する必要がありました。

 常備軍ができることにより、画一した訓練、規律をもてるようになり、飛躍的に軍の能力が向上していきます。


■官僚

 ばらばらの封土にわかれていた国内領土が、王の下に統一されると、国全体を管理する組織が必要になってきました。これが国全体を管理する組織――官僚です。

 そのなかには、王に政治全てに対して、申告する宰相という非常に強力な位がありました。すぐれた宰相は、国家の大繁栄を支えていきます。

 有名なのは、フランスのリシュリューや後のプロイセンの大躍進を現出したビスマルクなど。


■膨大な貨幣

 官僚と常備軍を支えるために、膨大な貨幣が必要でした。このため、スペインは重金主義という貨幣を集めるための政策をとりましたし、オランダ・イングランドは東インド会社を設立し、重商主義という政策をとって、貨幣を集め、国を支えました。

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