弱る精神と仲間たち
抗ガン剤治療から2週間。
抗ガン剤は効いている様で、少しづつ癌は小さくなっている。
だが、まだ手術するには腎臓近くの管に癌が残っているらしく…もう少し時間を要する様だった。
その間、ジェイソンはじわじわと精神的を蝕まれていた。
「ジェイソン、酷いクマじゃない!」
テイラーの驚きの声が、病室に響く。
「テイラー、もうちょいボリューム下げようぜ」
テイラーの隣で、チャドが耳を塞ぎながらボヤいた。
「…ごめん!ジェイソンの目のクマが酷いから、つい!」
テイラーは恥ずかしそうにはにかんで。
「確かに…ジェイソンお前、ちゃんと寝てんのか?」
チャドが尋ねれば、ジェイソンは首を横に振った。
「寝れないんだよ、何故か…」
ジェイソンは疲れた様に呟いた。
「寝ても、10分しない内に目が覚めて…また寝て、10分しないで目が覚めるの繰り返し…」
ジェイソンは大きく、ゆっくりと息を吐いた。
「うへ、それ辛すぎるな…」
ジークがげんなりした表情になっていた。
「…ジェイソン、怖いのね」
ジークの横で、ケルシーが呟いた。
「…怖い?」
ライアンがケルシーを見ながら首をかしげた。
「…ジェイソンは癌の再発で精神的に凄く弱ってる」
「そして、死ぬかもしれない恐怖を感じてる…だから、寝ようと目を閉じると“死ぬかもしれない”って恐怖があって、すぐに目が覚める…のかな、って」
ケルシーがそう話せば、ジェイソンは胸を押さえ、女性陣は涙目に、男性陣は俯いていた。
「…そう、かもしれない」
「目を閉じたら…次はもう、目が開けられないんじゃないか、って…」
「僕は…怖い…目を、閉じる事が…怖いんだ…」
ジェイソンは今にも泣き出しそうに表情を歪めた。
「僕は…死にたくない…」
そう口に出したと同時に…ジェイソンは涙を零した。
「大丈夫だよ、今日の検査だって良好だったじゃねーか!」
チャドは今にも溢れんばかりの涙を何とか必死に堪えていた。
「そうだよ、きっとジェイソンは生きれるさ!」
ライアンは涙を拭いながら、明るく答えた。
「ああ、手術だって絶対上手くいく!」
トロイもチャドの様に涙を何とか堪えている。
ジェイソンは皆の言葉で少しだけ、安心した様だった。
それと同時に、ジェイソンは眠そうな表情になっていた。
「あはは、ジェイソン眠そう!」
マーサが目を拭いながら、ジェイソンを見て笑った。
「ほんと、凄く眠そう!」
ガブリエラもマーサと同じ様に笑っていた。
「…なんか…僕…安心、してる…皆…居るから…」
眠気でうとうとしながら、何とか言葉を紡いだジェイソンだったけど…話終わるや否や、寝息を立てていた。
「ゆっくりおやすみ、ジェイソン」
皆が口々にそう言って笑って。
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