癌の手術


そこから一月たち、待ちに待った手術の日となった。


休みの日だったから、皆でジェイソンを応援して、見送った。


ジェイソンは麻酔で眠らされて手術室へと運ばれ、手術中のランプが点灯した。


そして、ジェイソンが運ばれてから3時間。


点灯していたランプが消え、医師が現れた。


「先生、ジェイソンは大丈夫なのか!?」


不安が強かったのだろう、チャドが立ち上がって医師に詰め寄っていた。


「チャド!落ち着いて!」


テイラーがチャドを引っ張って離すと、医師は笑って答えた。


「手術は成功しましたよ」


「腎臓付近の開腹手術で腎臓の一部切除を行ないましたので、早ければ明日から水分補給は可能です」


「後、明日から痛みが無ければカテーテルを抜いて、血栓予防の皮下注射を行ってから歩行のリハビリを行なう事になりますよ」


医師が話し終えると、皆ハイテンションになった。


嬉しくて幸せで、喜びを爆発させていた。


抱き合ったり、ハグしたり、ハイタッチしたり。


遅れて到着したダーバス先生は安心して涙を拭い、ボルトンコーチは静かに拳を握りしめてガッツポーズをしていた。


騒ぎまくって居たら、手術室からジェイソンが運びだされていた。


全身麻酔が切れているらしく、ジェイソンは意識があり、皆の方を見ていた。


皆の余りの喜びように、ジェイソンは驚きながらも笑っていて。


病室に戻ってベッドに寝かされたジェイソンに、皆が次々に「手術は成功したわ!」「退院までもう少しだな!」「リハビリ頑張ろうね!」なんて話しかけるから、ジェイソンは嬉しいやら困るやら、複雑な表情になっていた。


「良く頑張ったな、ジェイソン」


ボルトンコーチは目にうっすら涙を浮かべながらジェイソンの手を握り、空いている手で頭を優しく撫でた。


「…ボルトン、コーチ」


ジェイソンは驚いた表情をしたが、すぐに安堵の表情になっていた。


「貴方が無事に手術から帰って来てなによりです!」


ダーバス先生はまだ涙を拭いながら、ジェイソンの頬に触れた。


「…ダーバス、先生」


ジェイソンは少し、くすぐったそうな表情をした。


そこから少し会話すると、先生達は忙しいらしく、学校に引き返していった。


先生達が居なくなると、皆またハイテンションになった。


そんな中、ケルシーがジェイソンに近寄った。


「手術、成功して良かった…」


ケルシーがジェイソンの手を両手で握りしめた。


「うん、本当に…良かった」


ジェイソンは空いている方の手を伸ばし、ケルシーの頬に触れた。


当たり前だけど、ケルシーはそれはそれは驚いていた。


「本当、良かったよな!」


ジークがジェイソンの頭をわしわしと撫でる。


ジェイソンはちょっぴり痛そうな表情をしていた。


「さて、今日はこの辺にしときましょうか!」


興奮冷めやらぬ中、テイラーが皆に向けて話した。


「そうね、手術したばかりでジェイソンも疲れてるだろうし…」


マーサが笑って頷いて、鞄を取る。


と、それにつられるように皆が帰り支度を済ませた。


「ジェイソン、また明日!」


そう言って、皆が手を振って病室を後にした。


ジェイソンはそれを見送りながら、手を振っていた。


そして、皆が居なくなると同時に、ゆっくりと目を閉じて寝息を立てた。


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