副作用:身体の痛み
抗がん剤治療が始まって3週間。
ジェイソンは様々な症状を仲間の支えでなんとか乗り越えていた。
副作用は様々出ていたが、吐き気及び嘔吐に次いで良くでていたのは身体の痛み。
日によって痛む場所も痛みの度合いも変わり、気づくか気づかないかの時もあれば筋肉痛のような痛みだったり、激痛とも言えるような強い痛みだったり。
痛む箇所は個人にはよるが、頭、肩、腕、鎖骨付近、脇、腹部、腰、足、関節。
「…っ、う…いっ、た…」
ジェイソンは苦痛そうに表情を歪める。
「どの辺が痛いんだ?」
ジークが静かに尋ねれば、ジェイソンは苦痛そうに表情を歪めたまま、小さく「…背中」と答えた。
話し合いの結果でケルシーが背中をさすったりする役になり、ゆっくりと声をかけながら、優しく背中をさすったり、マッサージをした。
何故ケルシーかというと、ガブリエラとテイラーとマーサは抗がん剤について借りて来た本で調べ中、チャドとライアンとシャーペイは不器用だから、という事と、力加減的にケルシーに決まったらしい。
ケルシーが背中をさすったり、マッサージしはる中、ジェイソンは何度も痛そうな呻き声を上げてベッドシーツを握りしめていた。
度々、ライアンが心配そうにジェイソンに話しかけていた。
しばらく、さすったりマッサージすると、少し痛みが和らいだのか、ジェイソンの苦痛そうな表情が和らいだ。
「…ありがとう、ケルシー…」
ジェイソンは大きく息を吐きながら、ゆっくりと呟いた。
「これくらいなら、私いつでもやるわ…唯一、私がやれることだもの」
ケルシーが微笑みながら言えば、ジェイソンもつられるように笑う。
「私達は友達なんだから、遠慮なんかしないでね、ジェイソン」
そう言って、ケルシーはジェイソンに笑顔を向けた。
その日は面会時間ギリギリまで、ずっとジェイソンの為に、痛みを和らげる為の背中さすりとマッサージを繰り返した。
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