抗がん剤と副作用


今日は昨夜、男子組から全てを聞いた女子組も駆けつけている中、点滴の管が繋がれた。


そして、抗がん剤が入った袋が取り付けられ、治療が始まった。


「抗がん剤って副作用出るって言うけど…大丈夫かい?」


ライアンが心配そうに告げれば、ジェイソンは笑った。


「あはは、まだ使い始めだから大丈夫だよ!」


明るく答えていたジェイソンだが、2時間が経過した辺りで異変が起きた。


「…うぷっ…!」


という声を急に上げ、ジェイソンは直ぐに口を抑えた。


使用直後から現れる、抗がん剤治療において1番良く知られる症状、吐き気と嘔吐。


ナースさんが用意してくれていた嘔吐用容器をジェイソンに渡すと、ジェイソンは嘔吐した。


苦しげに、何度も吐き戻した。


ガブリエラがジェイソンの背をさすってあげていた。


ケルシーはパニックでオロオロし、テイラーはナースコールを押して、ライアンはアワアワ、ジークは顔を背け、トロイはジェイソンに声をかけ、チャドは自分の不安から逃れるかのようにライアンをたしなめ、シャーペイはジェイソンを見つめながら不安からジークの手を握りしめていた。


かなり吐き戻した後、ジェイソンは真っ青な顔で、ぐったりと横になっていた。


そんな中、ナースコールで来たナースさんからは、吐き気や嘔吐が酷くなるようなら吐き気止めの薬を処方する、とのことだった。


「…頑張れ、ジェイソン」


ジェイソンを気遣っての小さな声でケルシーが呟く。


それを聞いたジェイソンはケルシーに笑顔を向けた。


「うおっ、もう時間がヤベぇ!」


チャドが唐突に叫んだ、と同時にそれぞれが時計を見た。


時計は既に7時を過ぎていた。


面会時間も終わる為、皆は慌てて病室を飛び出した。

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