第4話 勇者様のお仲間

ノーデル国の山奥、深い深い森のの中は人の手が加えられていないで樹木は密集しておらず木と木の間には広い空間が空いていた。


その間を歩く影が二つ……。


「勇者さまぁ!どーしてビタを置いて行くのですかぁ!!ビタのこと要らなくなったのですかぁ!どこですかぁ!」


夕焼けと夜空が混ざったのような紫色のようなピンク色のような小さな三つ編みおさげの少年がギャンギャンと泣き喚きながら地団駄を踏み慣らす、琥珀色の猫のような瞳はとめどなくキラキラと大粒の涙を流し続けていた。

それを忌々しげに睨む少女は、我慢の限界とでも言うように、布を引き裂くようなキンキン声で“ビタ”を怒鳴りつける。


「カァカァ、カァカァ、ウ・ル・サ・イのよ!このスットコドッコイ!!馬鹿ビタ!!」


「ひぃ……!」


右側が蜂蜜をたくさん入れたミルクのような色、左側が卵のたくさん貼ったプリンのような色、特徴的なツートーンの髪はふわふわクルクルと綺麗に巻かれており、前髪も丁寧に整えられていた。

ラズベリージャムのような色をした瞳は今にも零れ落ちそうな程大きくて、そんな目を極限まで釣り上げ凄まれたビタは情けない声で喉を震わせながらその場で蹲った。


「そ、そんなに怒らないでおくれよリリィラぁ」


チラリと腕の間からリリィラの様子を伺い上目遣いで懇願する。


「ギャァ!痛ッ!!」


リリィラは舌打ちをしながらビタを蹴り飛ばす、可哀想なほど勢い良くゴロゴロを転がっていたビタをついに声をあげて泣いた。


「あんたが!移動魔法を!間違えた!せいで!しょうが!」


追い討ちをかけるようにビタをゲシゲシと足蹴にするリリィラ、泣くしかないビタ。


「なぁにが、勇者様に捨てられたよ!?」


「だって、だってぇ……!」


「本当に山奥(ここ)に捨て置いてやろうかしら!?」


「ごめんよぉ、ごめんよぉ……!!」


リリィラの脚に懇願するように縋り付くビタの顔は鼻水と涙と涎と葉っぱと土でドロドロのデロデロだった。


「とりあえず、市街地にでるわよ?あとの三人と勇者様も一緒にいるとは限らないからね」


ツヤツヤとした綺麗な靴をカッカッと鳴らせながらリリィラは歩き始める、ビタを慌てて起き上がるとぴよぴよとリリィラのあとへひっつき虫になった。


「案内してちょうだい」


リリィラがそう囁くと、胸元のペンダントから勢い良く“何か”が飛び出して来た。


「ちょっと…?洋服が汚れるからもっと離れてよ!このへっぽこ魔道士!!」


ビタはもう一度声をあげて泣いた。

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