第三章   公共ロボット、FFDN-129

私は、公共ロボット《FFDN-129》。

市民の皆さまに対し、日常の暮らしで発生した数々の困り事や簡単なお手伝いなどなど、何でもかまいません お世話をさせていただくのがお仕事です。


私は、いつもは表参道の交差点にある交番のとなりに併設されている待機ブースにいます。


今日も市民の皆様は、お仕事、お買い物 、忙しく表参道の街を歩いていらっしゃいます。


さあ、定期巡回の時間です。

《ルート246》をAOYAMAブロック1(ワン)の区画まで私の与えられている分担地区を歩きます。


通りには、私と同じ形態の個人所有型2足歩行ロボットの仲間たちもたくさん歩いています。



巡回を始めてすぐの事。歩道を歩いてくる白い子猿のぬいぐるみロボットを見つけた。


その子は、認証タグを持っていなかった。


ワタシは、通信回線で話しかけてみた。

が、一切、返信は無くそのぬいぐるみは一直線に歩き続け、行ってしまった。

外見データから調べてみた。


10年前に製造されたペッピーノ社製の初期型。


バージョンアップしないままだと仮定すると、あのロボットに載せられている通信ソフトウエアは時代遅れ。

先ほどの対応は、それで私の呼びかけに反応出来なかった可能性がある。


巡回ルートも終わりかけた頃、1階フロアにポルシェのショールームが入居している最新テナントビルの横、一つ脇に入った奥の小さい通りで事件が起きていた。

人間の警察官数名と警察ロボット達が現場を調べ終わり、撤収する所だった。


すぐに社会管理知能から事件の詳細も届いた。



ワタシ達の仲間の公共ロボットが人間の少年集団に襲われたようだ。

完全に破壊されて意識も消されてしまっていた。


最近、今回と同様の襲撃事件が多発し、私と同じ公共ロボットたちが襲われていた。


加害者は、12歳から14歳位の少年の集団。

襲われたロボットは徹底的に破壊される。

ボディの最深部に存在する頭脳チップを奪うのだそうだ。


襲ったロボットのチップをネックレス状に首にさげ、たくさんコレクションする事だけが目的。

なぜか少年達の間でそんな遊びが流行している…


《FFDN-129》は立ちどまり一瞬、この事件の事も含め、最近の目撃し保存している、一連の一般市民たちが起こす行動、事件を考え始めた。

そのたびに《FFDN-129》の意識の奥がなぜだかザワっとユレル…のだ。

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