第2話 侵略魔→戦女神

 3年前ある日、日本の南海深くに異世界へつながる穴が出現した。


 以後、そこから謎の巨大生物が定期的に現れ、世界を侵略するようになる。

 巨大生物は侵略魔アグレストと総称され、日本には対侵略魔アグレスト組織が置かれるようになった。

 侵略魔アグレストの生態とともに穴の研究が進められたが、詳細は今も判明していなかったりする。


 一方、穴の出現と同時に、10代後半の女子たちの中に異能力に目覚める者が現れた。

 彼女たちは科学兵器すら凌駕し、侵略魔アグレストに対抗する力として研究が進められる。


 そしていつしか、その力は魔法と呼ばれるようになっていた。

 決して男が持ち得ない、思春期の女子だけが持つ奇跡の力。


 その結果、侵略魔アグレストと戦うのは魔法が使える女子たちの役割となった。そして強力な魔法を使う女子を育成するための女子高が、東京に設立される。


 それが――セントヴァルハラ女学院というわけだ。


 その生徒たちの中で、特に優秀な成績を修めている生徒は戦女神ヴァルキリーと呼ばれた。彼女たちは侵略魔アグレストと戦うリーダーとして最前線で出撃する。

 年頃の女子が勇ましく戦う姿は様々なメディアに取り上げられ、まるで一昔前のスーパーヒーローのように扱われていた。

 戦闘の中継がテレビで流れたり、記者会見が開かれたり、ドキュメント番組やグッズ販売がおこなわれた。


 こうして彼女たちは、多くの人々にとって希望と憧れの存在となった。


 中学三年の冬。

 俺は今から春日とともに、このセントヴァルハラ女学院の受験に挑む。



 いつの日か、春日が戦女神ヴァルキリーになれる日を夢見て――

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