第3話クラブ

「ここは用のない生徒は入ってはいけないところよ。」

いつの間に入っていたんだろう全く気付かなかった。

「はい、すみません・・・」

「ご、ごめんなさい。」

恵は泣き顔になっていた。なぜならこの学校で立ちリ禁止の場所に入ると厳しい処分が待っていた。

「それとも何か用があったの。」

再びピンチがやってきた。何か言い訳を考えなくちゃ。私たちが処分を受けてしまう。

「入部希望者だよ。俺のクラブのな。」

後ろから私たちの肩を持っていった。後ろには昨日の男の人が立っていた。

「あ、昨日の!」

「なんだ、昨日の奴か。」

この人のおかげで私たちは助かった。またこの人に助けられた。

「そうだよな?」

「は、はい!」

私たちは一緒に返事をした。これで処分から逃れられた。

「ふーん、そういう事ならいいけど。」

女の人は納得したのかそのまま私たちの横を通りすぎていった。

「ありがとうございます。」

「ああ、でもああ言っとかないとおまえら最悪退学だぜ。」

「そ、そんな。」

恵はまだ動揺している。退学と聞いて動揺するのはおかしくない。

「それでお前らどうする?俺のクラブに入るか?」

「え、でも私はまだ何も決めてなくて。」

私はクラブに入る気はなかったので断ろうとした。

「でもさ、ここにいるのって俺のクラブの奴だけだぜ。あいつに見つかったんだから大人しく入ったほうがいいと思うよ。」

そうだった、私たちはこの人のクラブに入るから見逃してもらっていたんだった。

「あ、あの。さっきの先生って誰ですか?」

恵が泣き顔で聞いた。

「あ、あいつか。ここの学校の一番偉い奴。いわゆる校長ってやつか。」

「え、今なんて言いました?」

「校長だけど、なんだお前らそんなにびっくりして、変な事しなければ関係ないって、まあお前らは入ってはいけないところに入ったから、大人しくクラブに入っておかないと退学かもな。」

この人は今さらっとすごいことを言った。校長って入学式でも声だけで姿を見なかったのに、いったいこの人って・・・

「よし、クラブに入る事で決まりだな。」

「どんなクラブなんですか?」

「え?ああ、クラブの名前は怪奇事件解決部!略して解決部。」

「怪奇事件?」

「おう、怪奇事件を解決するクラブだ。」

その時少しこの人の顔がこわばった。

「お前らこのクラブ新入生に配られていたクラブ一覧表に載っていたか?

私たちはクラブ一覧表を見たでも怪奇事件解決部は載っていない。

「このクラブは表向きには公表されていないから。部員はいない。基本的にここまで来た奴はさっきの奴に見つかって退学だな。」

「じゃあ私たちは?」

またこの人の顔が怖くなってきた。

「下見てみろ。」

「え?下。」

私たちが下を見ると。私たちの影が動き回っていた。

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