カキダシ
何か物語を書いてみたいと思った。
自分の言葉で。自分の声で。自分の心で。
自分好みのストーリーで、自分好みのヒロインが出てきて、そんでもって、主人公が一回り大きくなるみたいなやつをね。
これって、ただの自己満足だと思うかい。
————。
うん。僕もそう思う。そうだ。これってただの、自己満足だ。でもさ、それでもいいんじゃないかってこの頃思うんだ。
————。
ずっと前、中二病をこじらせてた僕でさえ、高校生になる春休みくらいに気づいた。
この世界って自分のためにあるわけじゃないんだなぁって。
この言葉自体が中二病だとか言われそうだけどさ。
僕の主観の中では世界は僕を中心に回ってるわけだけど、やっぱりみんながそうできてるわけで。もちろん僕の人生の主役は僕しかないわけだけど、この世界の主役は僕なわけがないわけで。わけで。
————。
きっとね、物語の作者は、不特定多数の他者に向けて、手にとってもらえるように、キャッチーなコピーを考えて、キャッチーなタイトルを考えて、キャッチーなキャラクターを考えて、テーマを世界を考えて物語を作ってる。
——もしくは作者自身のための物語かもしれないけどね。これみたいに。
どちらにせよ、それを僕たちは自分のための物語だと思っているだけなんじゃないかな。主人公と一緒に冒険して、笑って、怒って、泣いて、楽しんで。それってとっても面白けどさ。もちろん、僕は小説を読むのが好きだけどさ。うん。
そんなこんなで、この世に、自分のために作られた物語なんて、ない。
もっと言うと、僕のために歌われた唄もないらしいしね。僕の好きなバンドも言ってたよ。
あっ、でもこの前、ハッピーバースデートゥーユーって言われたあれは、僕のための唄だったのかなぁ。まぁ話が逸れそうだから、それは置いといて。
自分一人のためだけの物語なんて、存在しえない。
ならば、どうすればいい?
————。
簡単だよ。自分で作ればいいんだよ。自分一人のためだけの物語を。
自己満足でもいいじゃないか。だって面白いんだもの。そのためにだって、物語があってもいいじゃないか。
唯一無二の物語が。
僕の僕による僕のためだけの物語が。
これが理由だ。うまく話せたかな。
——。——。——。
だから、
だから、
だから。
だから。たった今、大声で叫ぶよ。僕の物語を。
別に君が聞いてくれなくたって、全然構わない。
この声を一番近くで聞くのは、僕だから。
———。
この物語の主役は、僕だから。
この世界の中心は、僕だから。
——そんな
——だからいま、書き出すよ。
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