人生相談って難しい 3
ふぉ~、なんとか終わった。
本当は声に漏らしたいがこのくらいにしておこう。
俺は飛びついてきた佐久間をあっさり交わし、校舎へとはいっていった。
垂れてくる汗はタオルを忘れた俺をとことん追い詰めてくる。
慌てて汗を服で拭うと、多少不潔なようにも感じるがそのまま目的地へと向かった。
目的地とは2年3組の教室のことである。
このクラスには壁新聞部部長がいる。
つまり、作戦を決行するのに適した場所ということだ。
「なぁ、壁新聞部長を呼んでくれないか?」
2年3組の扉の前で集まっていた男子軍団に声をかけた。
「おっ、おう。ちょっと待ってろ山木」
彼らと話したことはなかった。
しかし、どうやら俺のことを知っているらしい。
何を理解したのか「斎藤」と大声を上げた。
どうやら斎藤というのが部長の名前らしい。
事実、俺は斉藤さんとやらにあったことがない。
勝手に呼んでおきながら「やら」はないのだろうが、詳しく知らないのだから仕方がないだろう。
ケージしてあった自己紹介カードを読んだだけなのだから。
「なに?」
あっさりと目の前に現れた斎藤。
俺は何があったのか話すべく口を開いた。
「あ~、あのだな・・・俺の噂を5つほど壁新聞に記入してほしい」
そして、淡々と内容を話し始める俺。
一度流れた噂を打ち消すためには、さらに大きな噂で上書きしてやればいいのだ。
俺は大きなため息をはいた。
そして、長いようにも感じられた説明は幕を閉じる。
斎藤は全てを承知したと、ショートの髪を揺らしながら頷いた。
茶色く鮮やかな髪とふわりとかかるメガネがきらりと反射する。
「乗せるのは別にいいんだけど・・・君、それ正気でいいっているの?」
割と真顔で聞いてきた。
どうやらさっきのうなずきは了承を意味していたわけではないらしい。
俺は表情を一切変えることなくこくんと頷いた。
すると斎藤のほうがため息をつく。
「あのねぇ。あなたがしたいことはわかってるわ。でも、それが正しいやり方だとは思えないんだけど」
「いいんだよ。俺は何を失おうが全く怖くないからな」
再び斎藤はため息をつく。
それに逆らうように俺は苦笑いを浮かべた。
「まぁ・・・・」
何かを考えていたのだろう。しばらくの間まが続く。
「いいわ」
何とか承諾してくれた。
「今日の昼休みまでには掲示しておくわね」
早い。さすがは部長だ。
俺は感心しつつ2年3組の教室を後にした。
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