第2話 春を乞う 二

 翌朝、早くに目が覚めた志麻は、音を立てないように気を配りながら外に出た。東の空の端が白み始めている。東雲の里は一層静かで、吐く息も足音さえも、静寂に掻き消された。志麻は里を一周した。家々はいまだ覚めず、人は皆、浅い夢の中にある。

 どうしたものか。志麻は里の中央に立ち、天を仰いだ。夜の色を残す空には、雲の向こうにまだ星が幾つか光っているだろう。

 ナギを問い詰めれば真相に近付くことは確かだ。だが、そこまで辿り着くには、ナギがすべてを知っているという確証が必要だ。里の者達にナギを疑わせるだけの正当な理由が欲しい。志麻は歩き始めた。

 やはり、まずはミヤマから聞き出すべきか。だがあの態度だ。熱心な協力者とはいかないだろう。核心部分をすべて話すとは到底思えない。そうかと言って、ミヤマの他に事情を察している人物は思い当たらないのだ。イスケやトウカは幼すぎる。長は、ナギのことを怪しんでいれば里から追い出すことだって出来る筈だ。春を取り戻すためにオニカエシを呼ぶくらいなのだから、万策尽きたのだ。

 丁度、峠から続く道の前に来た時、薄暗い道を歩いてくる人影を見つけた。志麻は立ち止まり、目を凝らした。その小柄な人影に心当たりがある。志麻は名前を呼んだ。

「榊」

「あ、志麻さん。おーい」

 榊は大きく手を振った。榊は志麻の後輩にあたる。志麻の補佐を務めることが多い。オニカエシとしての能力はまだ一人前に程遠いが、年齢の割に頼りがいのある奴だ。榊は自分の身の丈の半分ほどある木箱を背負っている。軍服の裾や袖は折り返してもなお余り、軍帽もぶかぶかだ。何も知らない者からすれば、制服を着せて貰った、ただの少年にしか見えないだろう。榊は背負っていた木箱を志麻の足元に置いた。木箱はドスンと重量のある音を立てた。

「いつも悪いな、榊」

「いえいえ、こんなの朝飯前ってやつですよ。でも今回はちょっと困りましたね。昨日、峠で馬が逃げてしまって。昨夜のうちに着く予定でしたが、馬を探していたら峠で野宿になってしまいました。すみません、志麻さん。帰りの馬がありません」

「別に構わんさ。馬だって嫌だったのだろう」

 榊は軍帽を被り直した。

「空気が違いますね」

「さすがのお前にも分かるか」

「分かりますよ。この一帯だけ、不自然ですからね。これは鬼ひとりの仕業ではなさそうです」

「その件については粗方の予想はついている。榊、少し頼まれてくれないか?」

 そう言うと志麻は榊に小瓶を渡した。小瓶の中にはあの赤黒い液体が入っている。榊は小瓶を受け取ると、まじまじと眺めた。小瓶を傾ければ液体が粘り気を含んでいるようにドロドロと動く。

「血……ですかね?」

「さぁな。恐らくはその類のものだろうが、まだ成分は調べていない。これと同じ液体が水溜りになって、里の周りの山中に点在している。それらをすべて浄化してほしい。それだけで風が変わるだろう」

 はぁ、と呟きながら榊は山を仰いだ。

「そうすれば鬼を炙り出せる」

「結界の一種ですか?」

「いや、もっと質の悪い呪術の類いだ。大雑把に言えば、鬼にとって好都合な環境を作り出すものとでも説明しようか」

「へぇ、万里さんが好みそうですね」

「そうだ、榊。動くのは昼間だけにしろよ。連絡には鷹でも使え」

 志麻は榊の方を掴んで後ろを向かせ、背中を押した。榊は首を捻って振り返った。

「五日以内で頼む。それ以上は待てない」

「分かりました、榊にお任せを。あ、そうだ、逃げた馬が里に迷い込んだら、よろしくお願いしますね」

「ああ、分かった。そちらは任せたぞ」

 榊は来た道を戻り、やがて見えなくなった。志麻は木箱を背負った。重みで後ろにふらついたが、すぐに体勢を立て直した。

 例の赤い水溜りのことは榊に任せておけば間違いはないだろう。問題は、里の中だ。どう切り出していくべきか。志麻は木箱を担いだまま歩き始めた。山の端が朝焼けに染まっている。里の者達はちらほらと畑に出ていた。イスケの家に戻ると、薪を割ろうとしているフジの姿があった。

「おはよう、フジ」

「あら、志麻さん、おはよう。早いのねぇ」

 志麻は家の脇に木箱を下ろし、フジの手から薪割の斧を取った。

「代わろう。一宿一飯の礼だ」

「嫌だわ、いいのよ。眠れなかったんじゃないの?」

「そんなことはないさ。早起きが体に叩き込まれているだけだ」

「軍人さんは大変なのねぇ」

 斧を振り下ろせば、薪は綺麗に割れた。

「この里のことをいくつか聞きたいのだが、旧街道が賑わっていた頃は、この里にも活気があったのか?」

「そうねぇ……昔は街道沿いまで野菜を売りに行ったものよ。ここの土は米を作るには向いていないみたい。新しい街道が出来てからは、町まで売りに行く日も減ったわ。わざわざ山を越えるほどの儲けもないから」

「先生が来てから薬草栽培が始まったんだな?」

「ええ、そうなのよぉ。薬草は高く売れるし、何よりね、それまでは薬草なんて誰も詳しくなかったけれど、先生のおかげでみんな少しくらいなら分かるようになったのよ」

「フジの病も先生が治してくれたとイスケから聞いたが、厄介な病だったのか?」

「そうねぇ……。体から力が抜けていくの。フワフワと体が浮いてしまいそうに、力が入らなくて。畑仕事も、イスケの世話も、満足に出来なかったわ。それが一年以上も続いていたのよ」

 薪を一定の速度を保って割っていく。志麻が割った薪をフジが集めて積み上げる。

「先生の薬を飲み始めたら、ひと月も経たないうちに、みるみるよくなって。本当に、先生には感謝しているの」

 フジは手を止めて溜息を吐いた。

「頼りすぎだってことは分かっているのよ、里の人はみぃんな、分かっているの。先生はそう遠くないうちにこの里を出ていくんだって。トウカの病を治す薬草はこの里にはないってことくらい、先生ならとっくに調べているはずよ。それでも里に留まってくれるのは、もう里の我儘でしかないの。分かっている、だけど、先生のいなくなる日が怖いわ」

 そう言うとフジは薪を割る志麻の手を止めた。

「ありがとう、これだけあれば十分よ。さあ、イスケを起こして、ご飯にしましょう」

 家に入るフジの後姿はどこか寂しげだった。


 イスケは志麻の木箱にとても興味を持った様子で、食事を終えると木箱の前を行ったり来たり繰り返した。志麻はフジやイスケには届かない高い場所の掃除を手伝い、それから外に出た。

「兄ちゃん、この箱どうやって開けるのさ?」

 イスケは不思議そうに首を傾げた。イスケの言う通り、木箱には蓋や引き出しのようなものはない。コツがあるのさ、と言って志麻はイスケの家を後にした。イスケはフジに連れられて畑へと向かった。

 ミヤマの小屋にやって来ると、待っていたかのようにミヤマが出てきた。ミヤマは志麻を小屋に招き入れた。小屋の中は獣と火薬の匂いが染みついていた。

「山の様子を見てきたんだってな、何か収穫はあったかい?」

「ああ、それなりに」

 志麻は肩をすくめた。

「ミヤマ。アンタはどこまで知っているんだ」

「さぁてなぁ。知っているふりをしているだけかもしれねぇぜ?」

「それでもいいさ。里の連中がどれだけ嘘を重ねても、俺の仕事は変わらない。鬼を還して春を取り戻す。ただそれだけのことだ」

 志麻がそう返すと、ミヤマはクックッと笑った。

「お前さん、先生が怪しいと睨んでいるんだろう? そりゃそうだ、里の人間じゃあないからな」

「先生が絡んでいるという証拠はない」

「いいや、証拠ならあるさ。お前さんも見たはずだ」

 ミヤマはボリボリと首の後ろを掻いた。

「アンタも先生を疑っているのか」

「疑っているんじゃない、知っているだけだ。だが、先生は片棒を担いでいるだけだ」

「知っていて何故止めようとしない」

「馬鹿なことを言う奴だなぁ。知っているから止めないんだよ。だから昨日、こう言ったのさ。無駄だと思うがね、とな」

 志麻は目を細めた。事情を知っているからこそ止めないというのは、つまり、ナギに同情の余地があるということだろう。そういう案件が一番厄介なのだ。今までも、村人全員で鬼を擁護したり、オニカエシを追い払おうと襲い掛かってきたりと、立場の悪い任務はあった。怪我などいつものことだ。鬼を還したところで喜ばれるわけではない。たとえ鬼がいるとしても、続いてきた日常を壊すのだから、報復は付き物だ。だからオニカエシは軍人、戦う者だ。

「俺は五日で片を付けるつもりだ。そろそろ種を蒔き始めないと秋の実りは期待できない。五日、それでも万一、見込みがないのなら、悪いが、この里は見捨てさせてもらう」

「たったの五日で何をしようって言うんだい?」

「出来る限りのことはするさ。飢えて死にたいと言うのなら話は別だが。里の蓄えが尽きる頃には里の外にもここの噂が広まっているだろうな。誰も寄り付かなくなる。先生のことを守りたいのなら、好きにすればいい。滅びたいと言うのなら構いはしない。だが、忘れるなよ。長はこの里を救うために俺を呼んだんだ。その気持ちを無下にする奴に、この里で生きる資格があるとは、俺には到底思えないんでね」

 そう言って志麻は外に出た。日は昇ったが、昨日と同じでぼんやりと雲が掛かっている。風もない。ナギの小屋を訪ねようか、里の者に話を聞くべきか。志麻が考えあぐねていると、背後からミヤマが声を掛けた。

「お前さん、鬼を還すのをためらったことはないか?」

 志麻は振り返った。ミヤマは戸口に立って志麻を見ていた。

「そんなもの、数えきれないほどある。だが、鬼を還して後悔したことなど一度もない。そう言うアンタはどうなんだ。狩りをする時に躊躇したことはないのか?」

「あるさ、何度でも。狙いを定める手が震えて止まらないことだって、何度もあった。そのたびに、生きるためには仕方のないことだと自分に言い聞かせてきた」

「仕方がないなんて、そんな諦めの言葉など聞きたくはない。オニカエシは妥協のための仕事じゃない。妥協することに命を懸けるほど、俺は無謀じゃないからな」

 志麻はミヤマの言葉を一蹴した。ミヤマはどこか寂しそうに笑った。

「そうだろうな、お前さんは強いだろうから……。先生の所に行くなら、諦め方を教えてやってほしい」

「だから俺は諦めることなど」

「もう終わりにしてもいいんだと、誰かが言わなきゃいけないのなら、それはお前さんじゃなきゃ駄目なんだろうと思う。ただ、それだけのことが、この里の連中は、言うことさえ出来ない」

 少し考えるように志麻は視線を空に向け、それから軽く手を挙げてミヤマの小屋を後にした。竹林の向こう側を目指して歩き始める。

 風のない竹波は重い。真っ直ぐに伸びる竹が中空を断つ。風に揺らげば波打つ竹も、僅かにさえ動かない。水の底にいるようだ。息苦しい。

 竹林を抜けると、小屋の前にナギの姿が見えた。たすき掛けにして袖をたくし上げ、軒先に草を干している。恐らくは幾日も乾燥させてから煎じる類の薬草だろう。

「あ、志麻さん」

 おはようございます、とナギは会釈した。おはよう、と志麻も返す。散った桜の花びらが地面を見事な薄紅色に染め上げていた。けれども老いた桜はまだ幾重にも花を咲かせ、甘く濃い香りを漂わせている。積もる桜の海には終わりなどないように思えた。

「今日も山に入って調べものですか?」

「いいや、山のことは暫く平気だろう。俺は里で色々と聞いて回るつもりだ」

 吊るされた薬草に近付くと鼻の奥がツンと痛くなるような匂いがした。

「俺には何の話か分からないし、詮索するのは好きじゃないんだが、まあ、ミヤマのじいさんが心配していたとだけ伝えておく」

「ミヤマさんが?」

「ああ、そうさ。要するに、潮時を見誤らないようにしろということだろう。何の話か分からなくもないが」

 薬草から顔を背けると桜の匂いに包まれる。この辺りは風に匂いが運ばれず、いくつもの匂いが混ざることなく存在している。激しい移り変わりに眩暈がしそうだ。

「帝都に行けばトウカの病を治せるかもしれないと、考えたことはなかったのか?」

 志麻が尋ねると、ナギは首を振った。

「医者には見せましたよ。何人も。けれども皆、無理だと答えました。祟りだと言う人も現れましたが、祈祷してもらったところで、何も変わりませんでした。せめて、奇異の眼差しにさらされることのない生活を維持することが、兄としての責だと思っています」

「両親はどうした? 近親者に同じ症状の者はいないのか?」

 ナギは一瞬、小屋の中に目を配ってから志麻を見た。

「志麻さん、少し歩きませんか?」

 トウカに聞かせたくはない話なのだろう、そう理解した志麻は頷いて、ナギに従った。竹林を歩くナギの背中は頼りなく、迷いが見えた。兄妹ふたりで旅をしてきたのだから、それなりの事情を抱えているのだろう。どこまで話すだろうか。志麻はナギを試していた。諦めさせても本当に良いのか、見極めなければならないからだ。

「トウカと私に、血の繋がりはありません。そのことはあの子も知っていることです。縁があって私が引き取り、育ててきました」

 竹林の中ほどで、ナギはポツリとそう言った。

「あの子は孤児ですから、親族のことは何も知りませんし、聞いたこともありません。どういった経緯でひとりになってしまったのか、聞いたところで覚えているわけでもありませんから」

「なるほど。ではあの病が先天的なものなのか、後天的なものなのか、判断しかねるわけか?」

 ナギは悔しそうに首を振った。

「治してあげられたならば」

 その言葉は深い溜息とともに薄暗い竹林の底に沈んだ。風が吹けば飛ばされそうな言葉たちも、竹の波の間で滞る。地面に積もった枯葉の下で幾重にも重なる溜息や嘘が、靴の裏からじわじわと志麻の体を上がってきた。歩けば振り落とせる。止まれば足を取られる。この竹林にはナギの後悔や自責が行き場なく漂っているようだった。

「そういえば、山のほうは暫く平気だと志麻さんはおっしゃいましたが、何か手立てでも見つかったのでしょうか?」

 竹林を抜ける頃、ナギはそう尋ねた。志麻は首筋をポリポリと掻いた。

「根本的な解決策にはならないが、とりあえずはあの赤い水溜りをどうにかしようと思って、な。手は打ったから、同僚が走り回っている頃だろう」

「あの水溜りは、やはり里に悪い影響を与えていたのですか?」

「多かれ少なかれ。そりゃ、良いものには見えないだろう。あんなものを余所の連中が見たら逃げ帰るんじゃないか? おや、イスケが走って来たぞ」

 ふたりの前方からイスケが大きく手を振って走って来る。どうやら火急らしい。急病人でも出たのだろうか、志麻はそう思ったが、イスケはナギではなく志麻を呼びに来たようだ。

「オニカエシの、兄ちゃん!」

「俺か」

 志麻は早歩きでイスケの元に向かった。

「大変だ、変なものが流れてきた」

 早口にそう言うと、イスケは志麻の袖を引っ張って走り始めた。走りながら詳しく話を聞けば、里を流れる小川に何やら奇妙なものが流れ着いてきたらしい。水源は山の奥であるから、恐らくは山が怪しいのだが、とにかくまずは志麻に判断してほしいということだった。

 里の者達はすでに小川の縁に集まっていた。長やフジの姿もある。志麻が現れると、皆が道を開けた。

 澄んだ小川の中に、焼け焦げた太い木の枝のようなものがあった。少し上流には布が引っ掛かっている。志麻は軍靴を脱いで裸足になり、軍服の裾と袖を折り、小川に入った。水はまだ冷たい。木の枝を拾い上げた。水に浸かっていたにしては、妙に温かい。しばらく火の近くにあったような、じんわりとした温かさを残していた。水を吸って重量を増した枝を改めて観察すると、中は赤黒く、白い枝が入っている。志麻はこの物体に心当たりがあった。

「馬の脚だ」

 成り行きを見守っていた里の者達がざわめいた。一部分しかないが、間違いないだろう。断面は鋭利な刃物で切られたように整っていた。表面が焦げているところから考えて、焼け残りが流れてきたのだろう。志麻はそれを地面に置き、そのまま小川を少し遡った。冷たい水は足の感覚を徐々に奪っていく。この中で温度を残していたのだから、馬の脚には鬼が絡んでいると考えるべきだろう。水草に引っ掛かっていた布には、見覚えのある紋章が刺繍されていた。

「兄ちゃん、その布は?」

 この布もまた焼け残りなのだろうか、端が焦げている。志麻は小川から上がると、その布で馬の脚を包んだ。裸足のままの足の裏に砂が付いた。

「これはオニカエシの紋だ。この馬は昨日、峠のあたりで逃げ出したという馬だろう。オニカエシの所有物だが、まあ、持ち主はどうでもいいことだ」

 包んだ布を持ち上げると、水がボタボタと滴り落ちた。

「代わりの馬をすぐに手配しましょう」

 長がそう申し出たが、志麻はそれを断った。

「いや、それには及ばない。徒歩で平気だ。問題は、だな。たとえば行商人がどこかで他の部位を見つけたりでもしたら、悪い噂が立つだろう。早いところ探すとしよう」

「では皆にも手伝わせましょう」

「それは有難いことだが、下手に怪我をされても困るんでね。山のどこに鬼がいるのか、これだけ深い山々が連なっていれば、それだけ居場所を特定することが難しくなる。それならばどこから現れてもいいように、里の守りを固めておいてくれ。まずは火を焚く。里の中心、そうだな、この辺りにでも薪や柴を集めよう。詳しいことはそれから話す」

「分かりました。では昼過ぎまでには燃料を集めましょう」

「ああ、よろしく頼む」

 志麻はそう言い残して、包んだ馬の脚と軍靴を持ち、イスケの家へと向かった。素足のまま歩いていたので、足の裏がザラザラとして少々不快だが、拭うものを持ち合わせていないのでしばらくは我慢する。イスケが後から駆け足で追いかけてきた。

「オニカエシの兄ちゃん」

 イスケが不安そうに志麻を見る。

「なあ、大丈夫なのか? 鬼がおそってきたりはしないのか?」

「今のところ、人を襲うことはないだろう。だが、さっきも言っただろう、恐れるべきは噂のほうだ。この里が完全に孤立してしまうことを俺は心配しているんだ」

「里のみんなは、猟があんまり得意じゃないんだよ。男手が足りないだろ。鉄砲を撃てるのも、ミヤマのじっちゃんくらいだ。鬼が里の中に入ってきても、オレたちじゃ太刀打ちできない」

「鬼と戦おうとするのはよせ。それはオニカエシの仕事だ。素人には無理だ」

「それじゃあ、兄ちゃん。本当に里を助けてくれるのか?」

 イスケは志麻の上着の裾を引っ張った。志麻は立ち止まる。

「俺のことが信用出来ないか? まあ、いいさ。信じられないのなら、約束をしておこう。俺は必ずこの里に春を取り戻すと。オニカエシを信じることは出来なくても、また来る春なら信じられるだろう?」

 けれどもイスケは何も言わずに俯いた。やれやれ、と志麻は首を振り、歩き始めた。イスケは黙ってついてくる。

「なあ、イスケ、知っているか? 人の命を奪う鬼よりも、厄介な鬼がいるんだ」

 志麻は少しだけ後ろを振り返りながら尋ねた。滴り落ちた水の跡が地面に点々と続いている。

「攻撃的な鬼なんて可愛いものさ。だが、何よりも骨が折れるのは、人の心を奪う鬼だ。心の隙間に入り込み、付け入り、徐々に蝕んで行く」

「オニカエシの兄ちゃんは、平気なのか?」

「平気なわけないさ。いつも鬼に怯えている。それでも鬼を還すのが俺の役目だ。もし俺が鬼を還さなければ、何人もの命が奪われていくだろう。だが、あるべき場所に戻ることが出来ないということは、鬼にとっても苦しいことだ。そうなれば俺は自責の念に苛まれるだろうな。だから俺は人のために、鬼のために、何より自分のために、立ち止まるわけにはいかないんだ」

「あるべき場所って?」

「簡単に言えば、心の拠り所だな。たとえば、生まれ故郷さ。鬼にとっても、生まれた場所は特別な意味を持つ」

「失敗したことはないのか?」

「鬼を還せなかったことは一度もない」

 一度もない、と志麻は繰り返した。イスケは唇を噛みしめ、握った拳を震わせた。

「本当に、春が来る?」

「来る。必ず春は訪れる」

 志麻は強い眼差しでイスケを見た。そして、深く頷いた。イスケは握っている拳をそのまま振り下ろした。拳は志麻の腰のあたりを弱く殴り、力なく垂れ下がった。

 イスケの家の前に置いてある木箱の前に志麻は軍靴と馬の脚を置いた。木箱の側面をコツコツと叩くと、天板に小さな杭が浮き出てきた。志麻の隣でイスケが感心したように小さく息を吐いた。その杭を引き抜けば、木箱を覆っていた蓋が外れる仕組みになっている。蓋を外せば大小様々な引き出しが並ぶ。志麻はそのうちのひとつを開け、中から笛を取り出した。小指程の大きさをした木の笛を志麻は吹いた。一度目は低い音、二度目は高い音、そしてもう一度、高い音。風の吹かないこの里で、果たしてどこまで届くだろうか。

「何?」

「オニカエシが連絡を取り合う時に使う笛だ。音の組み合わせで伝達事項を変化させる」

「今の音は?」

「簡単に言えば、集まれという合図だ。さて、残りの部位を探しに行く前に、少し調べておくべきことがある」

 志麻は地面に置いた馬の脚を包んでいた布を広げた。先ほどの熱はすでに感じられないが、鬼の気配だけは残っていた。触れようとすれば指の先がピリリと痛む。この感覚はすべての人間が持つものではない。多くは生まれ持った素質だ。

「鬼というのは、そのほとんどが自然から生まれた者達だ。たとえば海。お前は海を見たことがあるか?」

 志麻が尋ねると、イスケは首を横に振った。

「そういうものがあるって、話だけは聞いたことがある」

「まあ海だけではないが、水辺とでも言おうか。水底に息を潜めて通り掛かった船を沈めたり、夜になると浜辺をさまよったり、鬼火で誘き寄せたり……。すべてが鬼の仕業ではないが、大方、鬼のせいだな」

 染み出した水が地面に広がり砂の色が濃く変わり始めた。志麻は木箱の引き出しのひとつから竹筒を取り出し、中に入っている透明な液体を数滴、馬の脚に垂らした。一瞬、青白い火花が弾けた。

「……やはり、か」

 志麻は呟いた。イスケは隣で首を傾げている。イスケには火花が見えなかったのだろう。

「何か分かったのか?」

「ああ、思った通り、これは心を蝕む鬼の仕業だ。厄介だな、まずは風を吹かせなければならないか」

 傍に落ちていた手頃な長さの枝を拾い、志麻は地面に四角形を描いて馬の脚の周りを囲った。そして先程とは別の竹筒を取り出し、灰色の液体を描いた囲いの溝に流し込んだ。さらに木箱から取り出した赤い粉を馬の脚に振り掛け、古くから伝わる魔除けの言葉をいくつか唱えた。唱え終わる頃には囲いの四角形が燃え上がり、緑の炎が馬の脚を包む。さすがにこの炎はイスケにも見ることが出来るのだろう。顔を緑に照らしながら、ポカンと口を開けている。志麻が息を吹きかけると、緑の炎は強く揺らめいて掻き消えた。

「何をしたんだ?」

「残りの部位を探す目印を付けた。あとは合流するだけだな、もうしばらくか」

 志麻が竹筒を木箱に片づけていると、駆けてくる足音が近付いてきた。振り返らずとも分かる、この飛び跳ねるように軽やかな足音は榊のものだ。

「兄ちゃん、小さい軍人さんが走ってきたよ」

「ああ、さっきの笛でアイツを呼んだのさ」

 おーい、と間延びした声が届いた。相変わらず大きく手を振りながら榊が現れた。

「お呼びですか、志麻さん。すみません、まだ浄化は完了していないのです」

 走って来たにも関わらず、息も切らさずに榊は早口でそう言った。軍服には木の枝や木の葉がいくつも付いている。山中を駆けまわっていた証だ。

「そのことについてだが、少々難儀なことになった。予定を変更したい。五日間などと悠長なことを言っていられなくなったんでな。向こうが先に動いた。恐らくは、向こうもあまり時間がないようだ」

 そう言いながら志麻は新たな四角形を地面に描いた。横に長い長方形の、中央よりも左に小石を置く。長方形は里の地図、小石は現在地だ。長の家は中央の上側、竹林や小屋は左端、里の入り口は右端、里の周囲はすべて山だ。小川は左上から右下に向かって流れている。

「どのあたり、いくつほど浄化したか把握しているか?」

 志麻は榊に木の枝を渡した。榊は里の周囲に丸を付けていく。

「ええと、志麻さんと別れたのがこの辺りですよね、ということは……」

 榊は右側から上にかけて、丸を四つ描いた。

「十二か、あるいは十六か」

「歩いた感覚では、恐らく十六ではないかと思います。この辺りは足場が悪くて、手古摺りましたよ。足腰の力の強い鬼でしょうから、山の出身かもしれませんね」

「そうか。とにかく、風穴を開けたい。引き続いてこちら側の浄化を頼む」

 志麻は榊の手の中から木の枝を抜き取り、榊が描いた丸とは対角線上の山々を大きな丸で囲った。

「鬼は見つかったのですか?」

「ああ、最初から目星は付いていた。だが、里の依存を憂慮して出来る限り緩やかに片を付けるつもりだったんだ。しかし、そんな余裕などなくなってきた。お前が連れてきた馬、バラバラになって見つかったぞ。残りは俺が集めておこう。鬼はもう、力を制御出来なくなってきているはずだ」

「そりゃそうですよ、志麻さん、今夜は満月ですから」

 榊は地面に置かれた馬の脚を横目でチラリと見やった。しかし、顔色一つ変えない。

「火を焚いて、鬼を里の外に出さないつもりではいるんだが、この里の連中は鬼に味方をするかもしれないな。お前はいつでも鬼を追える準備だけはしておいてほしい」

「任せてください。鬼追いには自信があります」

「夕暮れまでに風穴のほうも頼めるか?」

「榊にお任せあれ!」

「良い返事だ。日が沈んでからが勝負だな。この里から逃がせば、もう二度とあの鬼を還すことは出来ない。必ず里の中で捕まえる。いいか、榊。欠損は不可だ。確実に生きたまま、完全な形で捕縛するぞ」

 志麻の言葉に榊は大きく頷いた。弾みで軍帽がずれ、馬の脚の上に落ちた。

「この子、全部集まったら、弔っても構いませんか? それとも本部に持ち帰って提出しなければなりませんか?」

 榊は軍帽とともに馬の脚を大事そうに抱え上げた。先ほど一瞥した時とはまるで別人のように、その瞳は慈しみに滲んでいる。

「心配するな、上にはそれとなく報告しておく」

 志麻がそう答えると、榊は深く頭を下げた。志麻は木箱から大きな布を取り出し、榊に渡した。榊は受け取った布で丁寧に馬の脚を包み、志麻に預けた。それから榊は大きく息を吐き、軍帽を被り直した。

「それでは、そろそろ行きますね」

「ああ、よろしく頼んだぞ」

 榊は来た時と同じように軽やかに走り去った。その小さな背中を見送っていると、イスケが志麻の軍服の裾を引っ張った。

「今の人も、オニカエシ?」

「ああ、そうさ。まだ半人前だがな。幼いと驚いたか?」

 イスケは口を尖らせた。

「本当に春を信じても大丈夫?」

「出来ない約束はしない」

 志麻は榊から託された包みを木箱に仕舞った。濡れた地面はすでに乾いていた。畦道を里の者達が薪を抱えて歩いて行く。心なしか、皆の表情が明るい。長く続いた季節の狭間が、ようやく終わりを迎えると心待ちにしているのだろう。

 だが、志麻の表情は硬い。今回は一筋縄ではいかないだろう。今までで一番厄介な相手かもしれない。しかし、やるべきことは変わらない。鬼をあるべき場所へ還す、それだけだ。

 薄雲の奥で南中する太陽が昼を告げる。そろそろ薪も集まった頃合いだろう。里の者達に指示を出して、山へ馬を探しに行かなければならない。志麻は木箱から大きな布を取り出した。薬品もいくつか携帯する。そして、念のために帯刀しておく。普段は威圧的になるため殆ど刀を持たないが、今回ばかりは状況が悪い。時間の猶予が無くなった今、鬼を安全に確保するための準備が整っていない。真っ向から力で勝負することになるだろう。

「やっぱり兄ちゃんは軍人さんだね」

 帯刀した志麻の姿を見たイスケがそう言った。そのどこかがっかりしたような声が、志麻にとっては何よりも残念でならない。刀を振るえば、民衆の心は離れていくのだ。なぜなら人非ざる者と戦う者もまた、人ではないのだから。懐く子供たちも慕う大人たちも、皆、オニカエシの戦いを見れば恐れ戦く。本当のことを言えば、鬼から受ける傷よりも痛む。

 指定した場所に行くと、積み重ねられた薪を囲むようにして里の者達が集まっていた。竹槍を片手に持つ者の姿もあった。戦でも始めるつもりか。志麻は呆れながらも里の者達の前に立った。

「今から策を簡潔に説明する。これは、鬼を捕まえるための策ではなく、アンタたちを守るためのものだ」

 志麻は北東のほうを指差した。

「里の北東から南西にかけて、適度な間隔を保って火を焚いていく。火の道を作るわけだ。この道に鬼を入れる。特別な炎だ。心配せずとも鬼の方から勝手に入ってくれる。アンタたちは篝火を焚いて家に籠ってくれ、それだけでいい」

 我々も戦います、そう意気込む里の者達を志麻は宥めた。

「いいや、それは俺の役目だ。アンタたちまでこちら側に来る必要などない。鬼を斬り捨てるだけの力があるとでも言うのなら、話は別だがね」

 誰からともなく溜息が漏れた。志麻の刀を見て思うところがあったのだろう。こんな山に囲まれた土地では必要のないものだ。

「先生、先生は来ているか?」

 志麻が声を掛けると、奥のほうからナギが手を挙げて現れた。

「私に出来ることがあれば、何でも」

「桃の葉とアザミの葉が必要なのだが、余分に持っているか?」

「アザミは乾燥させたものがありますが、桃は……ヤマモモなら山のどこかにあったはずです。私が探しに行きましょう」

「いや、ないのならば別に構わないんだ。アザミだけいい。夕刻に小屋まで取りに行くから粉末にしておいてくれ」

 それから志麻は里の者達に篝火の作り方を説明した。束ねた薪に薬品を数滴垂らし、それを二列に並べて夕暮れを待つように指示する。

「火と火の間は、そうだな、五間くらいか。火をつけるのは暗くなってからだ。俺はこれから山に入って馬の残りを探してくる。その間、まあ、自由に過ごしてくれて構わない。俺が夕暮れに間に合わなかった時には、先に火を焚いてくれてもいい。俺のことはあまり気にしてくれるな、里を危険にさらすつもりはない」

 志麻はそう言うと、大きく手を広げ、すぐさま胸の前でその手を打ち鳴らした。乾いた音が里に反響する。風は吹かない。けれども、音が響き始めた。決して有利な戦いとは言えないが、鬼の呪縛は確実に弱まり始めている。

 薪を束ねる里の者達を残し、志麻は山へと向かった。

 静まり返った山にも変化があった。それは志麻でさえ注意しなければ見逃してしまいそうなほどに微かな兆しであった。耳を澄ましても聞こえはしない。目を凝らしても見えはしない。だが、確かに漂う気配がある。春、そして、鬼の気配だ。夜半、鬼が山に入っていたのだろう。馬に誘われたのか、ただ獲物を探していただけなのか、あるいは別の目的があったのか。とにかく、馬を喰った鬼の気配が残っていた。その鬼の気配を際立たせているのが先程の儀式だ。目的の場所へと続く道標のように、小さな緑の炎が足元に揺らめいている。この炎はオニカエシや素質のある者にしか見ることの出来ないものだ。しばらくすれば消える。炎は小川の辺に点々と続いていた。

 小川を遡って行けば、次第に森が深くなり、石の割れ目を縫うように細い水が流れる。それはまるで地を這う蛇のようだ。水音さえも静寂に吸い込まれ、相変わらず山の春は眠ったままだ。

 榊は今頃、この山のどこかを走り回っているだろう。見た目は少年だが、あれでいて頼りになる。心配は不要だ。だが、気になることがいくつかある。

 果たして、この細い水流が馬の脚を運んだのだろうか。

 違うだろうな、と志麻は思う。あの馬の脚は鬼によってわざわざ置かれたものだ。あまりにも不自然だった。里の中央に皆から見えるようにして置いたのは、志麻に告げるためだろう。

「逃げも隠れもしないとでも言いたいのか。まったく、嫌になる」

 密かに里を抜け出せば、天敵であるオニカエシと対峙することもない。鬼というのは、ほとんどがそうして逃げてしまう性質がある。だからオニカエシは長い旅を続けて鬼を探す。しかし、この鬼は少々、変わり者のようだ。逃げられない理由があるはずだ。

 かなりの山深くに目的の場所があった。高い木々が壁のように周囲を囲み、深い下草が水源を覆うように生い茂っていた。その茂みの中に、馬の残りがあった。無惨に、と言うべきなのか、綺麗に、と言うべきなのか。志麻は頭の中で考えた。無惨にもバラバラにされた馬の死骸は、驚くほど綺麗な切り口で、そして周囲には血だまりもなく、花さえ供えられている。この奇妙な光景を何と表現しようか。

 持参した布の上に残りの死骸を丁寧に乗せ、端を結んで閉じた。大きな袋が出来上がる。血が抜かれているからか、見た目ほどの重さはない。抱えたり、背負ったりと、体勢を変えながら志麻は大袋を持って山を下りた。

 太陽が山の向こうに落ちようとしている。稜線に消える最後の光が雲を淡い朱色に染めていた。里を覆う薄雲も明日には晴れているだろう。

 里に戻ると、篝火の基礎を並べ、皆は火を焚く準備を始めていた。志麻はイスケの家に大袋を置いてから、里の中央に合流した。長が志麻に頭を下げる。

「ついにこの日がやって来たのだと思えば、もう何とお礼を申し上げたら良いでしょうか」

「まだだ、まだ何も終わってはいない。これからが本番だ。俺は先生からアザミを貰ってくる。その間に火を焚き始めてくれ」

 志麻は竹林を抜けてナギの小屋にやって来た。道すがら、ミヤマが小屋の前で猟銃の手入れをしている姿を見た。ナギは散った桜の花弁を箒で掃いていた。

「ああ、志麻さん。おかえりなさい。アザミの用意は出来ていますよ」

 ナギは箒を戸口に立てかけ、小屋の中から半紙に包んだアザミを持ってきた。

「皆さん、もう火を焚き始めているのでしょうか。私は、そろそろトウカが起きてくるので、一旦戻って来たのですが」

「始めるよう長に伝えてきたばかりだ」

「私もトウカにあらましを教えてから手伝います。夕餉の支度はもう出来ているのです」

「先生。海を見たことは?」

 志麻が尋ねると、ナギは一瞬、きょとんと驚いた顔をした。志麻の質問には脈絡が無かった。

「海、ですか。私はありますよ。まだトウカと出会う前に。けれども、トウカはありません。見せてやりたいのですが、潮風は体に障るでしょう。いつになることか」

「ここから一番近い海は西にある港町か。とても穏やかな海だな。魚が美味いぞ」

 受け取ったアザミを上着の内側に仕舞い、志麻は枝垂れ桜の枝を掻き分けた。揺れた枝から花弁が舞い散る。桜の芳醇な香りが夕暮れの中に強く香った。空は灰色掛かった藍色に、里は紫色に染まっていた。

「いつか。そんな日など、訪れるはずもないのです。分かっています。私にはトウカを治すことは出来ないのだと。せめて穏やかな日々を過ごせるようにするだけしか出来ないのです」

 立てかけていた箒を握りしめ、ナギは震える声で小さくそう言った。

「せめてこの長い冬を越えて、温かい春を迎えて、野に咲く花々を愛でて、小川のせせらぎを、春風の息吹を、あの子に……トウカに」

 それ以上は何も言わず、ナギは口を噤んで立っていた。志麻は桜の隙間からナギを見ていた。

「先生、アザミをありがとう。春はもうすぐそこだ。海よりも近い」

「それは……よかった」

 ナギは寂しそうに笑った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る