第1話君

おんぼろ教室、キシキシ廊下、ヒビが入った窓。

水道からは虫が出てくる。

此処は学校。築150年になる。

冬休みから改築工事がはじまる。

僕はここが好きだった。


君がここに来たのは暖かい秋の日だった。

紅葉のような赤い唇、低身長、美人。

君に一番似合う言葉だ。

教室に入ったとき、君は転んでパンツ丸見えになってたね。

本当にあの時の嫌だった。

声も、姿も、性格も、パンツも、全てが嫌だった。

だから僕は、君から逃げていった。

しかし君は僕に近づいてきた

「ねえねえ、音楽室ってどこ?」

なんて聞いてきやがった。

「……下」

適当に答えた

「OKありがと!!」

気持ち悪い顔で笑った。

君も、僕も。


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