足を伸ばすと。

黒歴史でもなんでもない平凡な出来事だけど

マヌケな話。


私が五歳の頃。十年以上も前の事。

二階に近い階段、そんなとこに座って私は熱い味噌汁を飲んでいた。

引っ越したばかりの新築で、綺麗な階段が気に入っていたらしい。

リラックスした私はふと、足を伸ばした。

すると何故か自分の体が滑り台のように階段を滑っていったのだ。

「うぁぁぁあああ!!母ちゃぁあん!」

そう叫びながら味噌汁を撒き散らし、

そして階段のコーナーも見事に曲がり、母のいる一階にたどり着いた。

「どうしたの?!」

驚いたような声で駆け付けた母。

「熱いぃぃいい!!痛いぃぃいい!!

うあぁぁああああ!!」

そんな私を見て母は過呼吸になりそうなくらい大笑いしていた。

自分でもちょっと可笑しくて笑いたいんだけど、滑った悔しさで笑えなかったのを覚えている。

そして、新築で綺麗だった階段の壁は、味噌汁でシミになった。

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