第4話 3年後の自分の姿を思い描く1
「ふむふむ…3年後の自分の姿を思い描くか…」
帰宅途中にたまたま出会った「未来脚本」という著書。
読む進めていくうちに、衝撃が走る。
現実は、確かに自分の思い描いた通りになっているし…
・お金がない・恋人がいない・仕事が忙しい…など。
ネガティブにとらえていることは全て現実になっている。
その中で、「思考の修正」が必要であるということを知る。
ずっと癖でネガティブにとらえている事柄を、ポジティブに変換すること。
・お金がない→生活できるだけのお金はある。貯金する余裕がないだけ。
・恋人がいない→恋人はいなくても、好きな人はいる。
・仕事が忙しい→その分、やりがいがあり、充実している。
「ない」と考えている事柄を「ある」に修正していく。
「なるほど…」
私はうなずきながら、夢中で本を読み進めた。
そして…
「よしっ!」
お気に入りのノートとペンを取り、早速、実践してみることにした。
まずは、『3年後の自分の姿』を思い描く。
私は、深呼吸をして、目をつむり、真剣に妄想し始めた。
—————————………
心地の良い目覚めの朝。時計をみると8時を指している。
白いカーテンが気持ちよく揺れている。
窓からは爽やかな海風が入ってくる。
テーブルの上に乱雑に置いてあるのは、結婚式の準備のための資料。
私は、来月結婚をする。
ウェディングドレスは、純白で、肩が隠れていてもデコルテは大きく開いている。
胸元と背中には大きなリボンがあしらわれている中世のお姫様のようなデザイン。
ティアラはゴールドで、真ん中にハートの形があって、周りにはダイヤモンドが散りばめられている。とてもキラキラしていて見ているだけで、うっとりする。
お色直しのカラードレスは、パステルカラーの綺麗な色。
主にピンクを使用しているけど、チュールが透けていて、スカートは花柄になっており、虹のように見えるデザイン。
式場は、海の見える綺麗なチャペル。
彼と色々と見て回って、ここに決めた。
私は、今、鎌倉・湘南に住んでいる。
お寺や自然、海に囲まれた生活環境でストレスなく、毎日を過ごしている。
仕事は、小説や脚本、雑誌の連載コラムを書いたり、漫画の原作やアニメやゲームのシナリオを書いている。
いわゆる、作家というやつだ。
その傍らで、アロマを勉強していて、時々サロンを開いている。
自由に時間を使えて、好きな仕事が出来て、とても心地よく、ストレスのない生活を送っている。
乱雑に広がっている資料を机の片隅に片づけて、朝食を作りにキッチンへと向かう。
コーヒーを煎れると、その匂いにつられてか、ある人物がキッチンに姿を現す。
「ふぁ~あ…」
大きなあくびをしながら涙目をこすり、歩いてくる。
綺麗な黒髪には、寝癖が付いている。そんなところも愛おしく思える。
「おはよう」
眠そうな目をこすりながらも、爽やかな笑顔で挨拶をしてくれる。
彼は同棲中のフィアンセ・黒澤遼介。
5歳年上の映像クリエイター。
向井理似のイケメンで黒髪の似合う好青年。
ちょっとSっぽいけど、甘えん坊で関西弁がかわいらしい。
彼とは前の仕事で出会った。出会いは3年前。
私が制作で、彼は取引先の映像クリエイターだった。
けど、その時、彼は結婚をしていた。
2年前に前の奥さんとは別れている。
離婚の理由は、生活感のズレだという。
一般企業で事務の仕事をしていた前の奥さんと、クリエイティブな仕事をしている彼とでは、生活のリズムが全く合わず、同じ家に住んでいても顔を合わせるのは月に2~3回程度だったらしく、たまに顔を合わせては喧嘩になり、次第に気持ちが離れていったという。
彼と付き合いだしたのは、半年前。
打ち上げで久しぶりに顔を合わせたあとに意気投合して、そのまま交際することになった。
その際にはすでに「結婚前提」としたお付き合いだった。
同棲を始めて3か月が過ぎた。
初めて会った時から感じていた「運命の人」という感覚は一緒に住み始めてからもすごく感じている。
お互いに価値観が似ているので、特に大きな喧嘩もなく穏やかな日々を過ごしている。
つづく…
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