第101話 レイランの下へ転移
ペルシーは行ったことのない場所には転移できない。
転移魔法というのは古今東西そういうものらしい。もっともペルシーの転移魔法は、次元アンカーが設置してあればどこへでも行ける。
今回はレイランを次元アンカー代わりにすれば、彼女の下へ転移できるはずだ。
だが、魔眼でレイランの位置を特定する必要がある。
「もしレイランの位置を特定できない場合、エドに乗って空を行くから大丈夫だ」
「ペルシー様、わたしが居ることをお忘れですか?」
「エルザ……。俺はエルザに乗せてもらうから、みんなはエドに乗せてもらえ」
「俺は構わないぜ」
「ペルシーさん、急がないと」
クリスタは時間を気にしているが、レイランは空を飛べるのだ。逃げる必要があれば逃げてくれるだろう。そのことに関してペルシーはまったく心配していない。それだけレイランは信頼が置けるのだ。
「さっそく探査するぞ。魔眼!」
ペルシーは魔眼を使ってレイランの位置を探ったが……。
「だめだ、やっぱり百キロ圏内にはいないな。それなら指向性を付けてやってみよう」
ペルシーはレイランが居ると思われる方角に集中して魔眼を使ってみた。
探査の目が二〇〇キロ、三〇〇キロと距離を伸ばす……。
「お兄ちゃん、もっとレイランさんのイメージを思い浮かべないと見つけられないよ」
「そ、そうか。なるほど……」
――レイラン。切れ長の瞳の麗人。俺の大好きな女性。
ペルシーは彼女の姿をイメージして徐々に距離を伸ばしていく。
――もう少し……、もうちょっと……。
「見つけた!」
「だから言ったでしょ」
その距離はおよそ五〇〇キロだった。
ガラフ大草原は
「随分と広い草原なんだな」
「ペルシー様、早く行きましょう!」
「分ったよエルザ」
ペルシーは討伐メンバーとして、エルザ、クリスタ、パメラ、エド、ジーナ、を指名した。このメンバーなら、もしトラブルがあったとしても、自力で生き残れる強さがあるからだ。
当然のことながら、レイチェルとエリシアから不満の声が上がる。彼女たちだってみんなの役に立ちたいのだ。
「お兄様、わたしも一緒に行きます」
レイチェルはほっぺたを膨らませてペルシーに抱きついた。
――その顔で俺を見上げないでくれ……。
「ペルシー様、わたしも行きたいのです」
エリシアは耳と尻尾をピンと立ててペルシーに抱きついた。
――耳がピクピクして可愛い……。
「兄貴、俺はレイチェルとジーナでスリーマンセルを作るから大丈夫だ」
「そうか、その手があったか。忘れてたよごめん」
「いきなり実践だけどなんとかなるだろう」
「妾もそう思うぞ。レイチェルなら心配ない」
「それじゃあ、エルザとクリスタとエリシアでスリーマンセルを組んでくれ。エルザは神槍ハルバートンを使えるから前衛、クリスタは後方で援護、エリシアは遊撃」
「「「了解!」」」
「エリシア、危険な時は飛翔ロッドで空に逃げるんだぞ
「分かりました。でも、エルザ様とクリスタ様は?」
「大丈夫だ。二人とも空を飛べるから。それから機能が不明のロッドを持ってたよな。機会があればそれを試してくれ。おそらく雷魔法が使えると思う」
エリシアはオランジュから奪った二つのロッドを持っている。一つは飛翔魔法が使えることが分かっているが、もう一つは不明だ。ペルシーは雷魔法が使えるのではないかと予想している。
「でもペルシー様はどうなさるの?」エルザがキョトンとした表情でペルシーを見る。
「俺とパメラが先頭に立つ。エルザのチームとエドのチームは俺たちの斜め後方についてくれ」
「一人足りないけれど、三角で三角を作るのね」
「そうだよ。このフォーメーションをデルタアタックと名付けよう」
「デルタアタック?」
「お兄ちゃんの気紛れだから気にしないほうがいいわよ」
「ははは、パメラの言うとおりだよ。そんなもんだと思ってくれ」
全員が戦闘準備を整えると、いよいよレイランの下へ転移する。
「みんな! 円陣を組んでくれ。いきなり戦闘に入る可能性もあるから気を引き締めて行くぞ!」
ペルシーは全員を見回してからこう言った。
「レイランの下へ転移!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます