第4話

「これで、50人斬り……後何人いる?」

「3人だな」

「よし、残りの3人の内容は?」

「全員カードの4人ものだ」

「なら、残りの3人まとめてやるぞ〜」

最後の賭けが始まってもう5時間が経過している。ここまででもう3万枚以上稼いでいるから、勝ちはほぼ確定しているだろう。それに、珍しく、今日の賭けは借金者が出てないし。

「4人で何すんの?」

「ババ抜きだそうだ」

「ここに来てババ抜きかよ……まぁ、良いけれど」

正直、神経使うゲームを最後に残されたのはキツイ。だって、集中力がないから、ミスしやすい。それに、ここまでノンストップでやって来たから、余計にヤバイ。

「何回勝負?」

「3回勝負で、1位3点、2位2点、3位1点、4位0点で総合点が高いヤツが全取りで」

「うっは〜。一番キツイヤツをやり始めやがった」

「お前等勝て勝て!!」

周りの野次が半端じゃない。と言うか、本当に今回は負けそう。

「賭け額は?」

「銀貨10枚で」

「!?」

高過ぎる気がする。銀貨10枚と言えば、銅貨1万枚だぞ?

「本当にそれで良いんだな?」

「あぁ。もちろんだ」

「アホじゃないか?」

「アホで結構」

本物のアホだった。

「じゃあ、やるぞ〜」

「待て。じゃあ、まず本物の銀貨10枚見せてみろ」

「良いよ?」

そう言って、3人とも銀貨10枚をマジで見せてきた。

「お前等どこからそれパクってきた?」

「パクってないよ?俺達の財布さんから貰ったんだけど?」

「は?財布さん?」

「うん。財布さん」

誰だよソイツ。

「ちなみに誰かは?」

「教える訳ないだろ」

でも、心当たりはある。

「ちょっと待ってくれよ?」

「?あぁ、良いけど」

今日のヒメキの言動や、行動からすると、俺の金をコイツらに渡した可能性が高い。しかも、銀貨10枚なんて子供にしては大金過ぎる。本当にそうだとしたら、俺の金でしか回ってない上に、金が減り続けてるはず……

そこまで気付いて、俺は自分の銅貨、銀貨を触り、その塊の場所を魔法でサーチした。

(ビンゴ!!)

やっぱりそこの金が無くなっていた。それも、銀貨100枚ぐらい。これは本当にヤバイ。

「ちなみに、ここにいる奴は皆財布さんから貰ったのか?」

「もちろん」

「やっぱり。じゃあ、その金全部俺のだな」

「は?」

「ネタは上がってんだよ。なぁ、ヒメキ?」

「うっ……」

ここに来て完全に見抜かれたという顔をしている。

「ヒメキ、正直に話せ」

「うぅ……ごめんなさい。カムの言う通りよ。皆に配ったお金はカムのなの」

「「「「「「「「「「えぇ〜!!」」」」」」」」」」

「それで?ヒメキ。どう責任を取るつもりだ?」

「ごめんなさい……」

「謝ってほしいんじゃないんだよ。どういう風に責任を取るのか聞いてるんだよ」

「その言い方怖い」

「当たり前だろ!!こんなしょうもない事をして!!」

「まぁまぁ、落ち着けって」

「ちなみに、最初の借金の返済の時コイツに借りてた奴は?」

「それは居ない。だから、1680枚はお前のじゃないよ」

「そうか」

気分が悪い。

「今日は金だけ返してもらってもう解散な。イライラする」

「……そうだな」

そうなって、俺等の最後の賭けは不穏な空気の中終わった。

帰っている間、ヒメキとは一切話さずに。

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