第3話

「た、ただいま〜」

「おかえり。一体どこまで走ってたんだよ?」

「え?え〜っと、内緒かな?」

怪しい。

「それで?どれぐらいの距離走ってたんだ?」

「それも内緒かな?」

「は?」

それじゃあ、先に進めない。本当にコイツはやる気があるのか。

「やる気ある?」

「あるある」

「じゃあ、どれぐらい走ったか教えろよ」

「それを言うとどこまで走ったか突き止めそうだもん」

ちっ。バレたか。

「じゃあ、ここまでで終わるが良いんだな?」

「うっ……それは……卑怯」

「教えない方が悪い」

さぁ、どうする?

「はぁ……仕方ない……分かった。教える。その代わり、私に勝てたらね」

「は?」

何を言ってる?

「勝負って何するんだよ?」

「ん〜。そうだね〜。今日の夜のカムの結果についての賭けでやろうか。私は今日、カムの負けで、カムは自分の勝ち。銅貨30万枚未満になってたら私の勝ち、以上ならカムの勝ちで。どう?」

悪くはない。だって、また俺が勝つから。

「良いよ。その賭け受けてやる。俺が勝てば今日行ったところを教えてもらう」

「私が勝てば、その時教える」

「良いよ。夜が楽しみだ」

そうして、運命の夜が来た。




「それじゃあ、行くか。最後の勝負をしに」

「うん。行こう。私達の今後を占う勝負をしに」

俺等が住んでいる場所から賭けが行われている所への距離はそう遠くない。

「よっ。メンツは揃ってるの?」

「あぁ。全員集合してる」

「よ〜し。じゃあ、まずは、今まで負けた分の集金な。コードネームB、K、Wは銅貨200枚G、I、S、V、Uは銅貨45枚A、C、Oは銅貨300枚なこれ払えないなら、今日参加させないから」

「「「「「「「「「「えぇ〜」」」」」」」」」」

「さっさと払う!!」

「「「「「「「「「「は〜い」」」」」」」」」」

これで1680枚プラス。幸先がいい。

「ほいじゃあ、今日の賭けの内容は?」

「カード!!」

「絵合わせ!!」

「ルーレット!!」

「パズル!!」

流石、今日俺からふんだくろうとして、自分の得意なのを言ってやがる。

「良いぜ。各自得意なのでかかってこいよ。全部相手してやる」

「「「「おぉ〜!!」」」」

「それじゃあ、最初はカードからやるか」

「キタァァァァァ!!皆、先に取り返させて貰うぜ!!」

「はいはい。んじゃ、カードの何やるの?」

「21で」

「いつものね。それじゃあ配り君よろしく」

『かしこまりました』

ちなみにこの配り君は俺が魔法で編み出した公平過ぎる物だ。もちろん、俺の魔力がないと動かないから、今日で最後になるだろうけど。

「それじゃあ、始めますか」

「「「「「「「「「「おぉ〜!!」」」」」」」」」」

そうして、長く、辛い夜が始まった。

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