第8話 助けたい
「お母さんを助けたいの」
明美は言った。
「お母さんを助けて普通の生活をしたいの。 あなたを連れて来たのもこの話をするためなの」
「この話は魔石と関係があるのか?」
健也がそう聞くと、明美は頷いた。
「ええ……。 とても関係があるわ。 このために私は魔法少女になったの。 そう……。 このために」
最後の言葉を力強く言い、この話がとても重要である事が健也にも分かった。
健也は黙って、明美を見ていた。
「私は一年前までは普通の少女だったの。 弓矢とか剣を振り回さない普通の少女よ。 その時に会ったのがペルよ」
ペルはカバンから顔を出し、明美を見つめる。
ペルが見つめた意味が分かったのか、明美は頷いて、
「大丈夫よ。 私が話すから」
明美はペルに言う。
ペルは石像のように固まったまま、口を閉ざしていた。
「ペルに出会った直後に事件が起こったの。 魔族の争いに巻き込まれたのよ。 その争いでお母さんも巻き込まれて、魔族の魔法を喰らってしまったの。 そこから、ずっと眠りについている。 全く目を開けようとはしなかった。 私はペルに聞いたわ。 そこで、魔法を解くためには魔石を使って、治すことができるという話だった。 それで私はお母さんを治すために魔法少女になったの。 お母さんを治したい……。 そのために今まで頑張ってきたの」
明美は健也に真っ直ぐ向き、目を逸らさずに健也を見る。
「協力してくれる? 私の目的のために」
「するよ。 それに俺は護衛なんだろ。 護衛が逃げ出したら意味がないじゃないか」
「ありがとう」
明美からお礼の言葉を貰う。
明美の目的が分かり、二人は明美の母親を助けるという目的が出来た。
二人は握手をして、その場を離れた。
健也は家に帰り、潜り込むように布団に入り、今日の事を考えていた。
魔族、魔王、明美と考えていると一つだけ引っかかることがあった。
「何故、狙われているんだろう?」
これだけが引っかかっていた。
狙われるにしても動機がある。
魔族との仲介が気に入らないからなのか、それとも知らない内に何かの邪魔をしているのか、考えてはいたが結局考えはまとまらなかった。
狙っている者は何が目的で、何が狙いなのか? その謎は残されたままだった。
「今日はひとまず寝るか」
健也は今ある考えを置いておき、そのまま寝ていった。
健也の部屋の窓から光が差し込む。
その光は健也を照らすように当てていった。
光によって目覚めた健也は布団から起き上がり、窓に着いてたカーテンを開く。
光は遮った物が無くなり、部屋に光が入っていった。
「朝か」
健也は太陽に向かって、呟き、学校へ行く準備を始める。
いつもと変わらない朝。
彼はいつものように朝食を食べ、着替え、学校に行く。
ただ、変わったのは、
「おはよう」
目の前の少女が話しかけて来る。
「おはよう」
「じゃあ今日は情報調べようか」
健也が魔法少女の護衛をすることになっていた事だ。
二人は学校へ向かう。
新たな情報を得るため、前に進んだ。
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