第七話「戦闘開始……するのか……?」
「戦闘シーンまでなかなか進まないなあ」
「どうした?」
「いや、独り言だ、気にしないでくれ」
「そうか」
世界に分かれてこの世界から抜け出す方法を探すというアメリアの案を神宮寺か らみんなに伝えてもらう。
いつもよりもみんなのやる気がある。
なぜか?
「まぁ、親とか注意する人もいないしな」
「それが油断にならないようにしないといけないけどな」
そう俺らが話していると、
「ところでさ、どこをどう行く?」
「どこにしようか~」
「あっちにギルドあったらしいよ」
「マジで!」
ぞろぞろとてんでバラバラに動いていく。
「はぁ」
「どうした、藤堂?」
「まとまりねぇなと思って」
「しょうがねぇよ、不安だからごまかしたいんだよ」
「いいのか、お前は」
「何が?」
「彼女についていかなくて」
神宮寺には恋人がいる、どんな奴かはそのうち話すがかなりラブラブしてやがる。
爆発しろ。
っと、話がそれるところだった。
そして今その彼女さんはクラス内でも大きいグループについてギルドへ向かった。
このままだと離れ離れになってしまうだろう。
「いや、ひとまず離れるよ」
「いいのか、それで?」
こっちの人数が少ない方にいるより半分近くの人数がいるあっちの方があんぜんだと思うんだよ」
「そうか。
別にお前がそれでいいならそれでいいんだけど」
「じゃあ藤堂」
「?」
「僕らもギルドに向かおうか」
「……ああ!そうだな」
あれ、何か忘れているような。
そして、ふと後ろを振り向くと。
「あっ……」
暇を持て余したアメリアがすぅすぅと静かに眠っていた。
眠ってしまったを俺が背負い、俺が来た道を戻っていく。
半分ほど戻った時、それは来た。
虎のような、でも牙の長い真っ黒な猛獣が現れた。
「神宮寺」
「ああ」
俺たちは走り出した、ただ逃げるために。
「アメリア、アメリアァァァァァァァ!」
「んん、なんですか」
むにゃむにゃと言わんばかりに目をこすっていた少女は急に目つきを鋭くすると虎のようなものを見て驚いたように目を開いた。
「ハード・タイガーですか、本来ならこんなところにはいないはずなんですが」
そういってアメリアは杖を取り出した、細長く魔法がいかにも使えそうだなって感じの。
「どこから出てきた⁉」
「今そんなこと気にしてる場合じゃないでしょ」
ハード・タイガーに向かって今しがた杖をどこかから取り出した少女はつぶやく。
何を言っているかはわからなかったけれど、詠唱のような響きだった。
その直後、猛獣の周りを炎が囲み踊っているように見えたのを藤堂と神宮寺は見逃さなかった。
猛獣はその炎を恐れるかのように逃げていく。
「戦闘開始……するのか……?」
俺ではなかったわけだが。
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