第五話「マジでか……いやいいけど……」

 静かな森の中を二人が走り抜ける。

「主に何人かでグループ組んでモンスターとは戦うんだけどね」

「そうなのか」

「私は回復系の魔法が得意なんだけどね」

「魔法!?」

「何?」

「いや、続けてくれ」

「そう?それでね、私が前に戦ったモンスターはね」

「君も戦うの!?」

「戦うよ?」

 心底当たり前のように言っているが、実感はつかめない。

俺が呆然としているとアメリアが言葉を続ける。

「魔法って俺でも使えるのか?」

「魔法は才能がかなり大きく影響するんだけど、調べてみないとわからないか   な……」

「それってどこで調べられるんだ?」

「それもギルドかな」

「やっぱりギルドなのか……」

どうやらモンスター関係のことはギルドに行くしかないようだ。

「ところで、さっきのドゴさんの話だけど」

「何だ?」

「あなたのその服かなり特殊だけどそれに似ている服ってことはあなたの知り合  い?」

「わかんないんだよな、それを調べに行かなくちゃ」

「そういうことですか」

 実際問題、今俺は知り合いが一人もいない状態だ。

 もしも出会えるなら一人でも帰るためには出会っておきたい。

「もうすぐ着きます」

「もうか?」

「この森を過ぎればすぐです!」

「わかった!」

 森を抜ける。

 太陽の光がさんさんと降り注ぐ中で、数十人の少年少女がこちらをみて驚いたような表情になる。

「俺は一人ぐらいいるかなって思ったんだけど……マジでか……こんなにいんの  か……いやいいけど……」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る