第二話 「そもそも君は誰かな?」

 心地がいい、そう思った。

 程よく寒くも暑くもないいい感じの気温に、適度な湿度のどが痛くならない理想の環境。

 このまま寝るにはちょうどよく、布団がかかっていなかったため引っ張り上げようとする。

「……ない……」

 布団がないことで少しだけ意識が覚醒し、ふと違和感を覚えた。

 ちょっと待て俺。なんで寝てるんだ。

 徐々に記憶が戻ってくる。

「そうか、あの光に飲み込まれて……!」

 ばっ!!と飛び起きて周りを確認する。

「あれ、もう起きたの?」

「誰だ!!」

 聞いたことのない声、その事実だけで小心者の俺はすぐに警戒する。

「やだなぁ、そんなに驚かなくてもいいじゃないか。まさかこんなに早く 目が覚めるなんてね」

「お前は誰だ」

「硬いねぇ。まぁするべきことは終わったし、話をしたいけど今日はここまでにし て帰りますかね~」

 質問をはぐらかしてきた。

 ますます意味が分からない。本当にこいつは何者なんだ?

 わからないことだらけで頭が混乱する。しかしひとつだけ確かなことがある、こいつが俺の気を失わせた張本人ということだけだ。

「じゃあ少年。君たちの旅路が素晴らしいものになることを願っているよ~」

「君たち……⁉だと……」

「じゃあね~」

「待て、お前は……」

俺の言葉を最後まで聞く必要がないかのようにそいつは闇に溶け込むようにして姿を消した。

 変な仮面をつけていたせいで表情を読み取ることはできなかったが俺にはそいつが笑っているように感じた。

「ここどこだろうな……」

 俺にはわからない。

 ここがどこかも、あいつが誰なのかも、君達の意味も、ついでに言わせてもらうと俺の隣でうつぶせになって倒れているこの少女も俺は知らない、ソウシラナインダ。

「こいつは誰なんだ、そしてここはどこなんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

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