僕ですか……ただの男子高校生ですよ?
ゆうさと(新米剣士)
第一話 「えっとここはどこかな……?」
「何なんだ、こいつはぁぁぁぁぁ」
叫んでみたが怪物が止まることはなく、俺の足が止まることはなかった。
自問自答する。
おかしい、なんでこうなったんだ。
時は数日ほど前にさかのぼる。
……山口県某市。
「それにしてもよー。行ってみたいよなー異世界」
春、桜が花から葉に少しずつ変わるころ俺達はその日最近話題になっている異世界物のアニメについて話していた。
「全部何もかも捨ててか?」
俺は笑いながら答えた。
いかに異世界のアニメがワクワクするものだったとはいえ、わざわざそのために家族も地位も何もかもを捨てるなんて自分がもしその権利を手に入れても遠慮したいと思った。
「でも、最近つまらないと思わないか?」
同じクラスの神宮寺悠人が俺に尋ねてくる。
そう考えるのも無理もない、俺たちは高校受験の代わりに中学校受験をした。おかげで受験はなく毎日があっという間に過ぎていた。
「確かに変化はないよな」
「だろ?」
贅沢な話だと思った。だが、同時に俺にも理解できる話だった。テストがあっても順位は大体決まって変動はほぼないし、オタク趣味をオープンにしているので学内カーストの上位に上がることもまずありえない。
「そこで異世界なんだよ!異世界なら何か変わるかもしれないじゃないか」
「そうかもな……」
ふと異世界について考えながら窓の外を見たとき、ふいに何かが光ったように見えた。
「おい!!」
「なんだ、どうした?」
「今何かが外で……
俺の言葉は最後まで続くことなく教室の中が光で満たされていく。
ちなみに、俺が意識を失う直前に思っていたのは、異世界転生物のアニメとかラノベって前触れもなく転生するよな、ということだった……。
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