第18話 地獄の業火 決別の花火

「あれは何だ? 新手の憑物つきものか?」


 殺したはずの弓使いの少女が何者かの手助けによって上空から舞い降りてくるのを見たヒミカは、オロチの上から目を凝らしてそれが何らかの霊体であることに気がついた。

 それが何であるのかはヒミカの理解も及ばなかった。


「だが、もはやそれもどうでもいい」


 先ほどのオロチの口から吐き出された地獄の業火とも呼ぶべき黒炎はヒミカにとっても衝撃的だった。

 オロチはもはや兵器と呼べる存在であると確信を得たヒミカの目に殺気がみなぎる。


「邪魔な船ごと消し去ってやる」


 目的を果たした以上、有能な部下であるはずの倫やヨンスも彼女にとって用済みだった。


「この忌々いまいましい島国ともオサラバだ。最後に大きな花火を上げてやろう」


 そう言うヒミカの顔は邪悪な笑みに彩られるのだった。

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