第2話 積み重なるそれぞれの力
ルイランの
潮の香りが漂う波止場を、
サバドやフリッガーら妖魔との激しい戦いを経たばかりの
ここのところ続いていた腹部の違和感も収まり、先ほどシャワールームで感じた突然の
今回の案件にとりかかってから、
だが、白イタチのサバドの身柄を警察に引き渡したことで、すでに
罪状記録の成されていないフリッガーについては特段の収益はないが、それでも現時点で
(この妖貨をすべて使い切ってでも
昨日からろくに寝ていないが、その体はアドレナリンを帯びて熱気をはらみ、心身ともに戦う準備は整っている。
「ニオイはここで途切れています」
ふいにそう言って立ち止まる
目の前には黒くうねる湾が広がっており、これ以上の徒歩探索は不可能だった。
「船で移動したってことですよね……」
誰にともなくそう
いかに
強い潮の香りに邪魔されるから、というだけではない。
地上では残る足跡も、流動する海面の上ではまったく残らないためだ。
こうなると風や大気に漂うかすかな妖気のニオイを
だが、
「ここからは私の出番ですね」
そう言う
「
その
「ルイランには見えないけど東京湾、船いっぱいあるネ。どの船に乗ってるか分からないヨ」
あっけらかんとそう言うルイランだったが、
「少しだけ時間をください」
そう言うと
1分、2分が経過し、それが5分6分となっていく。
その場にいる誰もが
そんな中、白雪だけは
そして会心の笑みを浮かべると、
「これを見て下さいな」
そこには護符の波長解析が完了し、結界解除のための霊的な周波数の数値が判明した旨が伝えられていた。
「結界を解除できるってこと?」
「私か
そう言って白雪は確信に満ちた笑みを浮かべると
それは何も書かれていない護符の台紙だった。
「魔界を出るときに色々と用意しておいて良かった。備えあれば憂いなしですわね」
そう言うと白雪はさらに
そしてそれでサラサラと護符の台紙に文字を書き込んでいく。
「あとはここに解析された周波数を書き込むだけで……完成ですわ。私と
周波数とは言うものの、白雪が書き出したそれはバーコードのような模様であり、やはり
ちょうどその時、
「見つけました。不自然な動きです。結界ですね。おそらく船体ごと結界で隠しているのかと」
彼女の目にはしっかりと映っていた。
何もないはずの波間に船の
「結界で船体の姿形を隠すことはできても、海面に尾を引く
「それ無問題ヨ」
そう言うとルイランは
中にはファンデーションのような粉が詰まっていて、ルイランは手でそれを足の裏にまんべんなく塗ると、波止場の縁から海面へと軽く身を躍らせた。
声を上げる間もなく驚く一同の前で、ルイランの足は揺れる海面に降り立ち、波紋を広げた。
その体は決して沈むことなく、海面の上にしっかりと二本の足で立っていた。
そんなルイランを見て
「よし。まだ追えるわね」
「わぁ。すごい!」
「器用な子ですわね」
それを見た
「1時間もしないうちに到着できるネ」
(待ってなさい
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