第7話 不屈の魂! まだ戦える
一番星の輝く薄闇が空を染めている。
工業地帯に建つバスハウスの中から
二階から降りてきた
「起きてたのね。
「ああ。
「上にいるわ。取替え済みのあんたの包帯から呪いのニオイを記憶してるとこ。集中してるみたいだから、1人にしておいたわ」
昨夜、呪いを受けてからすでに22時間ほどが経過していた。
日が暮れてからでなければ
だが、二人とも一番辛いのは
「気合い入ってるな」
落ち着いた口調でそう言う
(
昼の間も呪いのカウントダウンは無情にも経過していき、ようやく日が暮れて動き出せるようになった時には、もはや残された時間はわずかだった。
差し迫る恐怖に
不安げな視線を
「
「ん?」
「傷……痛む?」
消え入りそうな声でそう尋ねる
「少しはな。でもまあ大丈夫。状況的には悠長なことは言ってられないけど、俺はあきらめてないぞ」
そう言って拳を握り締める
「ご、ごめんね。
珍しく殊勝な
「どうした? 何か、女っぽいぞ?」
うつむいている
「う、うるさいわね! それより
「命を失いそうな状況で何ができるか。それで俺の価値が決まる。みたいなことだろ?」
「そうよ。よく分かったわね。しょっちゅう言われてるの?」
「いや。けど桃先生の言いそうなことは分かるよ」
そう言って
そんな彼の顔を放すと、
「どうしてそんなに普通にしてられるのよ。怖くないはずないでしょ」
思わずそんなことを口にしてしまい、言ったそばから
だが、それでも
「そりゃ怖いさ。けど不思議と取り乱さなくて済んでるのは
「おまえのほうがよっぽど青ざめた顔してるぞ。珍しいから写真でも撮っておくか」
少しふざけた口調でそう言い、それからすぐに
「俺たちは駆け出しとはいえプロだ。命の危険に直面する仕事をしてる。こういう事態はいつでも起こり得るんだ。俺にもおまえにもな。そのことは覚悟しとかなきゃならないぞ」
「分かってるわよ」
「こういう局面を乗り切っていかなきゃ、どちらにしろ俺たちに未来はない。俺たちが選んだ道はそういう道なんだよ。だからどんな状況に置かれても前を向いて歯を食いしばるしかないだろ?」
神妙な顔つきでそう言う
「
「まだ俺たちは戦える。そうだろ?」
「ええ。もちろんよ」
そう言って
だが、バスハウスがガタッと強い揺れに襲われたのはその時だった。
「じ、地震?」
「いや……」
連続して大きな揺れに見舞われ、
「きゃっ!」
「
それでも
「ど、どうなって……うおっ!」
「きゃあっ!」
二人が必死に衝撃に耐えているうちに、さらに大きな揺れが来て、ついにバスハウスが大きくよろけて横転した。
轟音が鳴り響く中、二人は身を投げ出されて壁に体を打ちつける。
ようやく静けさを取り戻した今、自分たちが置かれている状況を判断しようと必死に思考を巡らせた。
彼らの視界の中で、家具が全て倒れている。
それで二人ともバスハウスが横倒しになっていることをようやく悟った。
体を打ちつけたことにより刺し傷が開いたようで、鋭い痛みが
「
「わ、私のことより
そう言うと
「分かった。用心しろ。
そう言うと
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