第3話 解呪の方法を追え!
船着場での戦いから一夜明けた翌朝。
古書店と楽器店の立ち並ぶ商店街の路地裏を通り抜けて、
「
思いつめた表情でそう問う
「残念ながら効果的な方法はないね」
「そんな……」
「呪術師の呪いは術者による解除、もしくはその術者が死ぬことで効力を失う。その術者の力が弱ければ他の呪術師でも解除は可能だけど、【死の刻限】ってのは使うほうも面倒な複雑な術式なんだ。そんなものを使う奴の力が弱いとは思えないね」
「やっぱりアイツを見つけ出すしかないんですね」
焦る
「だが、そのカラス男が呪術の主だとは限らないからね」
「だとしたら、捕まえて締め上げて吐かせてやります」
「それにしても【死の刻限】とはまたずいぶんと悪趣味な呪術だね。呪術の
そう言う
「それが妖狐って可能性もありますね。
だが、彼女はそれを聞いても顔色を変えるようなことはなかった。
「心当たりはないね。そもそも私ら妖狐同士は互いに関わらないっていう不文律があるんだ。うまく避け合って生きているのさ。妖狐同士が顔を付き合わせたってロクなことにはならないからね。というわけで私が直接出向くことはないから、変に期待するんじゃないよ」
そう言うと
「そうですか……」
「もし相手が妖狐だとして付け入る
「これといった妙案はないね。大妖狐は別として、私ら妖狐は力そのものは強くないから自分の霊力だけで敵と直接戦うような馬鹿な
「力……でも私は自分の霊気量だけでは
だが、今や
換金士としての彼の能力がなければ自分は満足に戦うことも出来ない。
しかしながら彼女の気落ちの原因はそれだけではなかった。
出会ってまだ一ヶ月ほどの二人だが、
戦うことの出来ない
彼がいることにすっかり慣れてしまっていたこと、そしてそれが失われようとしていることが
「ま、とにかく
そう言うと
「分かりました。今回の相談料はいつも通りの口座へ請求してください」
そう言って席を立つ
「助言と言えるものなんざ何もしてない。これで金とったら私は
「そうですか。ありがとうございます」
そう言って一礼し、
「それと
「ありゃ?
童女の姿をしたお手伝い妖魔が盆の上に急須と湯飲みを乗せて持って来たのを見て、
「ルイランおまえ。とぼけた顔してるが、出てくるタイミングを失ったんだろ」
「重苦しい話は苦手ネ。
「ああ。そうかもね。まあ、あの子の良さを引き出せるかどうかは
そう言うと
「ときにルイラン。
そう言って自分を振り返る主人に、ルイランはニヒッと笑みを浮かべて
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