第2話 破壊の王! 漆黒の大鬼・悪路王
そんな彼女に襲い掛かる化け猿の目の前に漆黒の大鬼が立ちはだかった。
コンクリートの床から突然現れたその巨大な黒鬼は、受け止めた化け猿の右腕を無造作に握ると、その手に力を込めた。
化け猿はすぐさまこれを振り解こうとしたが無駄だった。
バキバキッという渇いた音が鳴り、化け猿が悲鳴を上げる。
「ギャオアアッ!」
無残にも化け猿の腕は黒鬼によって握りつぶされて、その骨は粉砕される。
化け猿は激痛に
だが、黒鬼は地に根を生やしたように仁王立ちのままビクとも動かない。
化け猿の鋭い爪も黒鬼の硬質な肉体の前にはまるで用を成さなかった。
「無駄よ。そんなことじゃ
女がそうつぶやくと、今度は
化け猿は強烈な力に呼吸すらままならないほどの圧迫感を受けて、苦しみあえぐ。
だが、そんなことはお構いなしに
「キアアアアアアッ!」
メキメキッと
眉一つ動かさずに腕組みしながらその様子を見つめていた女が指をパチンと鳴らすと、屈強なその黒鬼はつかんでいた化け猿を無造作に投げ捨てた。
地面に打ち捨てられた化け猿は手足をあらぬ方向にひん曲げられ、白目をむき口から泡を吹いて瀕死の状態で失神していた。
女は仁王立ちのままフンッと鼻で息を吐くと、倒れたまま気を失っている少女に目をやる。
「変なのに目をつけられちゃって不運だったわね」
同情の色をその瞳に浮かべてそう言う女の
「これはまた派手にコテンパンだな」
そう言って現れたのは、黒のジーンズにツヤのない茶色のブーツを履き、深緑色のパーカーを着用した黒髪の若い男だった。
その男に向かって白装束に
「凶悪犯だもの。これくらいは法の
そう言うと女は再び指をパチリと鳴らす。
するとそれを合図に、先ほど化け猿を打ちのめした
「さあ、あなたの仕事を早々に済ませて。
「了解」
「
黒い衣を
だが、
「
ブツブツと聞こえてくるその言葉は人間の言語とは思えないような奇怪な響きを持っていた。
ほどなくして倒れている化け猿の胸に奇妙な
それは四角い枠の内側に記されたバーコードのような
すると端末の画面には次々と文字が浮かび上がった。
「殺人3件、殺人未遂6件、傷害26件。以上。換金額およそ17万イービル」
イービル。
人間社会の裏側に人知れず存在する魔界の通貨である
金額を聞くと
「けっこうなワルね。もう2、3本くらい骨をへし折ってやるべきかしら」
それを見た
「やめとけよ
そう言って
「大丈夫。ちょっとケガしてるけど息はあるわ」
そう言って
少女は悪夢にうなされる
妖魔。
それは空想の世界にのみ語られる架空の存在。
だが、この世にはふとしたことで闇の漂う路地裏に迷い込んでしまう者もいる。
そしてこの少女のように運悪く闇の住人たる妖魔に遭遇してしまうことがある。
そんな者たちを普段の日常に戻してあげるべく、妖魔を討つ者がいる。
ここにいる
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