第一話その三

 黄昏時に鍛冶屋へと戻ると店主が万全の準備を整えてボクを待っていた。……とボクは思っている。

 机の上には預けた短剣の他に革の装備が置かれている。


「鞣した革で作られた胸当てに小盾だ。腕に付ける用のな。両方に樫の木も使っているから耐久に関しては他よりは良いと思ってくれ」


 店主の説明が続く。


「見たところ、パワーを活かして戦うというより、スピードを活かす戦い方だろう」


 武器と防具を「長所は生かせ。短所は潰せ」という言葉とともに渡された。


「ありがとうございます」


 感謝を述べて早速ではあるが身につけさせていただく。確かに軽くは無いが、邪魔になるほど重いわけでも無い。これなら確かに多少の無茶も出来そうだ。本当に多少ね。


「金が貯まったらまた来い」


 うん。お金が貯まったらもっと良い装備にしよう。自分のために。

そう活を入れ直してお店を後にするのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

超一流冒険者にボクはなりたくない! @taro_zaemon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ