僕の好きなで嫌いな季節

@shofaihey

僕と彼女の出会い

冬が好きだ。張り詰めたあの空気が。

冬が嫌いだ。街の至るところで電飾されたあの空間が。

僕は今年も何も予定もなく過ごすことになりそうだ。学校帰り、ほぼ人のいないプラットフォームでふと思う。

(頑張れば僕も彼らと同じなのに…)とよく思ってしまう。彼らには想い人がいて、それらは勝手に、自動的に出来たものでは無い。ただたった数回の勇気で掴んだ幸せなのだ。

それが分かっているのにも関わらず、僕は現実から目を背け続けている。

そうして、好きなそして嫌いな季節がやってきた。どうしようもない虚無感に陥り、電車が来たが、見送った。

なんてことは無い。ただ独りで考えたい気分だった。こういうのもたまにはいいなと思い、ベンチに座った。

ベンチに座りながら、ただホームの上に見える星を眺めていると、右から女性が歩いて来た。

彼女は髪は整ったショートでツヤのある髪が特徴で、白いマフラーにコートがよく似合っていた。

そう思いながら、僕は彼女を見つめていた。もとい、見蕩れていた。

それが分かったのか彼女は僕の方に歩いてきて、いきなり話しかけてきた。

「隣よろしいですか?」



張り詰めたあの空気が一瞬にして、弾け飛んだ。

ああ、冬はまだ始まったばかりじゃないか。

そう思い、僕の心は弾み出した―


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