ダイヤモンドは砕けモース② モースの硬度計とは?

 鉱物の硬さを語る今回のシリーズ。第二回目の今回は、モース硬度こうどの指標となる鉱物に付いて語りたいと思います。

 モースが指標として定めた10個の鉱物は、「モースの硬度計こうどけい」と呼ばれています。モースの硬度計こうどけいに使われる鉱物は以下の通りです。


 硬度こうど1:滑石かっせき

 硬度こうど2:石膏せっこう

 硬度こうど3:方解石ほうかいせき

 硬度こうど4:蛍石ほたるいし

 硬度こうど5:燐灰石りんかいせき

 硬度こうど6:正長石せいちょうせき

 硬度こうど7:石英せきえい

 硬度こうど8:トパーズ

 硬度こうど9:コランダム

 硬度こうど10:ダイヤモンド


 硬度こうど1の滑石かっせきはハッカ飴のように白い石で、世界中で最も軟らかい鉱物の一つとしても知られています。滑石かっせきと言う名前にはなかなか馴染なじみがありませんが、蝋石ろうせきと言えば思い当たる方も多いのではないでしょうか。


 滑石かっせきの用途は多彩で、蝋石ろうせきのようにしるしや文字を刻む道具としては勿論もちろん、化粧品や薬品にも利用されています。また上質な紙がずっしり重いのは、大量の滑石かっせきが混ぜられているためだそうです。


 硬度こうど2の石膏せっこうは我々の生活に広く浸透した鉱物で、石膏像せっこうぞうや建材に幅広く利用されています。骨折した時に使うギプスも、石膏せっこうが原料です。


 鉱物としての石膏せっこうは透明、あるいは白色の結晶で、成分の違いによって黄色や緑、オレンジになることもあります。我々が普段目にする石膏せっこうは、結晶に含まれる水分を抜き、粉末状にしたものです。焼石膏しょうせっこうと呼ばれるそれは、再び水を加えることで固まるようになっています。


 硬度こうど3の方解石ほうかいせきは、石灰岩せっかいがんの主成分となる鉱物です。様々な形状を取りますが、一般的にはひし形の結晶として知られています。他にも葉に似た形や板状の結晶があり、色も無色透明から黄色、青いものまで存在します。


 多くの人にとって聞き覚えのない鉱物ですが、その実、我々は日常的に方解石ほうかいせきを目にしています。高級な建材として知られる「大理石だいりせき」とは、方解石ほうかいせきを主成分にする石灰岩せっかいがんのことです。また石灰岩せっかいがんはセメントの材料としても用いられています。


 鉄骨の原料を作り出す鉄鋼所では、不純物を取り除くために石灰岩せっかいがんを利用しています。ほぼ全ての材料に関わっていることを加味するなら、21世紀の都市は方解石ほうかいせき賜物たまものと言っても大袈裟ではないのかも知れません。



 硬度こうど4の蛍石ほたるいしはフッ素とカルシウムの化合物を主成分にする鉱物で、立方体や八面体の結晶を作ります。本来は無色透明の石ですが、多くの場合、黄色や紫、緑などの色が付いています。


 驚くべきことに、蛍石ほたるいしには紫外線を当てると淡い光を発する性質があります。この現象を起こしているのは希土類きどるいと呼ばれる元素で、本来透明な蛍石ほたるいしが色付く原因にもなっています。


 硬度こうど5の燐灰石りんかいせきは特定の鉱物ではなく、リンさんえんと言う物質を主成分にするグループを指します。組成そせいによってフッ燐灰石りんかいせき塩素えんそ燐灰石りんかいせき水酸すいさん燐灰石りんかいせきなどに分けられ、色も無色透明から黄色、青、緑と多様です。結晶も板状から六角柱のものまで存在し、塊で発見されることもあります。


 これまた一般人には無縁な鉱物に思えますが、私たちの歯や骨の主成分は水酸すいさん燐灰石りんかいせきです。また燐灰石りんかいせきかられるリンは、マッチ箱の側面や肥料に用いられています。


 参考資料:徹底図解 鉱物・宝石のしくみ

               宮脇律郎監修 (株)新星出版社刊

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