薔薇の名前① 薔薇の履歴書
『
一般的に薔薇と言うと育てるのが難しいイメージがありますが、現実には育てやすい種類も多いと言います。実際、注意して街並みを見回してみると、薔薇を育てているお宅が多く目に入ります。何となくお高く止まった感じのする花ですが、意外と私たちの身近に存在する植物なのかも知れません。
薔薇はバラ
バラ
薔薇と人類の関わりは極めて古く、シュメール文明の遺跡からは薔薇と
シュメール文明は現在のイラク周辺に栄えていた文明で、紀元前3000年頃に
紀元前12世紀頃の古代ペルシア(現代のイラン)では、既に薔薇の栽培が行われていたと見られています。当時、薔薇はもっぱら薬や香油の材料に使われていました。とは言え、古代の人々も薔薇を美しいと思う感性を持っていたようで、部屋を飾ることにも使われたと言います。
また古代ギリシアの人々は、薔薇を美の女神アフロディーテの象徴とみなしました。ルネッサンス期の画家サンドロ・ボッティチェリの描いた「ビーナスの誕生」にも、無数の薔薇が描かれています。ビーナスはローマ神話に登場する女神で、アフロディーテと同一視されています。
西洋的なイメージとは裏腹に、薔薇は中国でも古くから栽培されてきました。
一年を通し、新しく伸びた枝には必ず花を付ける特性は、中国で誕生したと言います。「
「スレイターズ・クリムゾン・チャイナ」、「オールド・ブラッシュ」、「ヒュームス・ブラッシュ・ティー・センティッド・チャイナ」、「パークス・イエロー・ティー・センティッド・チャイナ」と言う四つの品種は、現代の薔薇に
中国の人々は
更に中国の人々は、薔薇に「
「
もう一つ中国で誕生したのが、「ティー」と呼ばれる香りです。
「ティー」は数種ある薔薇の香りの一つで、現代の品種に最も多いと言われています。香りの強さは中程度ですが、洗練された気品を持つと表現されています。
独特の特徴を持つ中国の薔薇は、18世紀から19世紀に掛けてヨーロッパに持ち込まれました。ヨーロッパに持ち込まれた薔薇は現地のそれと交配し、
時のフランス皇帝ナポレオン・ボナパルトの妻ジョゼフィーヌ・ド・ボアルネは、薔薇の栽培に熱心だった人物として知られています。彼女は世界中から250種もの薔薇を収集し、住居であるマルメゾンの館に植えたと言います。庭に生えた薔薇は園芸家に管理され、時には品種改良も試みられたそうです。
ジョゼフィーヌはまた一流の植物画家に命じ、収集した薔薇を描かせました。ピエール・ジョゼフ・ルドゥーテによって描かれた「バラ
参考資料:別冊NHK趣味の園芸 バラ大百科 選ぶ、育てる、咲かせる
上田善弘、河合伸志監修 日本放送出版協会刊
京成バラ園芸株式会社 公式ホームページ
http://www.keiseirose.co.jp/index.html
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