自由なキミ、囚われのボク…
鳴海 妙
つまらない話
ねえ。
聞いてくれるかい?
ボクの話を。
どうでもよくて、つまらない話だけどね。
ボクには彼女がいるんだ。
何年も付き合ってて、もう家族みたいな感じ。
付き合い始めた頃は
色々とサプライズしたりプレゼントしたり楽しかった。
でも、慣れちゃうと駄目なんだよね…
実際さ。
気遣ってつもりのはずなのに、いつも空振りに終わる。
彼女はボクのすることを当たり前に思っていて
気遣ってるつもりでも、余計なことをして!と怒られてしまう。
友達でも作ろうかと思って頑張ったけど
気遣えば、気遣うほど疎通になっていくんだよね。
でも、疎通になってボクが傷ついても、相手は知らん顔。
ほんと、最悪だよ。
昔はボクにも自由があった。
可能性も気楽に生きていく自由も…
いつからボクはこんなに不自由になったんだろう?
泣いた涙の回数
血を流した量
自分が社会から見放されていると思った数
もう数え切れないくらいあったんだ。
そのたびに彼女は謝ってくれるけど
それの繰り返しで根本的な解決なんて
全然できてないんだ。
今でも、もがいてる自分がいる。
あと何度繰り返せば、楽になれるのかな?
もしかして、生きてる内は楽になんてなれないと思う時もある。
そう考えると、しんどいし死にたくもなるよね。
一度ね。
ある岬に行って、飛び降りようと思ったけど
波打つ絶壁の前に立ったのに、足がすくんで
怖くて飛び降りれなかった。
生きる勇気もなければ死ぬ勇気もない…
ほんと、ボクって中途半端な人間だよ。
でも、それを誰かに言ったところで分かってなんてくれないんだよね。
だって、当事者じゃないからさ。
あなたよりも、もっと辛い思いしてる人だっているって
逆に説教されちゃうんだよね。
ああ、人って結局そうなんだって。
ああ、そんな戸惑って顔しないで
ごめん。
重くて迷惑な話だったかな?
少し話しすぎちゃったね。
聞いてくれてありがとう。
えっ?これからどうするのかって?
さあ、分からないな。
また、泣いて血を流して絶望するの繰り返しだろうね…
ボクが生きてる限り…
また、キミとどこかで会ったら
今度は楽しい話したいな。
その時までボクが生きてればの話だけどね(笑)。
キミの人生が自由で可能性があることを
世界の何処かで祈ってるよ。
まあ、神様なんて信じちゃいないけどね…
そろそろ、帰らないと彼女に怒られるから
さよならなら、そして良い人生を…
自由なキミ、囚われのボク… 鳴海 妙 @narumi-tae
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます