第6話 ツルギミチ

 私の名前は月島楓。

 今サムライとおもちゃの銃で戦っている。

 私の武器、ゴム弾装填ショットガンはアメリカ人サムライには効かない。


 隙をみて6発も撃ったがびくともしないのだ。

 ヒュッ、ヒュッ。日本刀が空を切る。

 このジャッカルの日Tシャツの男は恐らく剣道の達人だ。

 刀の形を知り尽くしている動きだ。

 だがせいぜい人間の動きだ、天使の私ならある程度距離を取っていると余裕で避けることが出来る。

 しかし攻撃の手段がない。

 撃つのは効かない、殴るのは危険だ、距離を取っているので攻撃が当たらないというだけで至近距離となると斬られることになる。

 どうする?

 そんなことを考えているとサムライは急に静止し形を変える。


「女……タダモノではないな?」


 この形は居合だ。

 奴の間合いに迂闊に飛び込めば即DEADだ。

 いかに私が天使で頑丈な肉体を持っているとはいえ日本刀に斬られれば死ぬ。


「居合か、優秀な形の使い手だ、でも日本人じゃないわよね? あんた」

「お前こそなんだ? アジアンな顔立ちだが」

「日本生まれの天使さ、私は」

「地獄に天使か、全く非科学的なのが続くぜ」

「そんな事より形のとり方は優秀だけど貴方は攻めてるのよ? それは防衛の形よ」


 サムライに戦術を指摘する。


「ふん、これは攻めの形さ」


 サムライは居合の形のまま足だけを素速く回転させる。


「俺の形を見ろ」


 猛スピードで私に接近するサムライ。

 あっという間に至近距離だ。

 サムライは刀を横に振る。

 このままだと切られる。

 私はショットガンを盾に横払いの高速の斬撃を防ごうとする。

 が絶たれるショットガン。このままだと私の上半身と下半身がお別れしてしまう。

 どうする? どうする? どうする?

 戦闘の思考回路を回転させるのは慣れてなくて解決策が一向に出てこない。

 早くしないと斬られるのは確実早く考えろ、解決策を。

 …。

 ……。

 ………。

 解決策ではないが良いかもしれない事を思いついた。

 飛ぶんだ。

 即座に飛べという指令を脳から体に送る。

 刀身は体から5センチくらいの所にある。

 私は飛んだので刀は足の位置に。

 そのまま私の右足首は斬られる。


 続く

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る