第4話 HellRoad
私達は
「あの、地獄ってここじゃないんですよね? 何処にあるのですか?」
私達の1人が壁越しにいるお姉さんに聞く、そう言えばお姉さんの名前は何なんだろう?
「地獄への道さ、戦士諸君。窓を開けて景色を見るといい」
言われた通り私達は馬車の窓を開ける。
ひょう、と砂埃と熱風がいっぱい入ってくる。
熱、そう感じる程の熱い風だ。
外は降りた時と同じ砂漠だったが砂山がなくただ真っ平らな地平が広がっていた。
それを見終え窓を閉める。
「砂漠ですね、この先に地獄があるのですか?」
私達の1人がそう質問する。
「そうよ、この馬でぶっ続けに走れば1日と半日くらい行った先にあるわ」
「何で直接地獄には行けないの? 穴みたいなのを地獄の下とかに建てればいいんじゃ」
「そうね、本当なら地獄の学校で習う事何だけど先に教えといてあげる、暇だしね」
何か教えてくれるらしい。
だけど教えてくれる前に聞いておきたいことがある。
「あの、あなたのお名前は何でしょう?」
「少し発音が難しい名前なの、聞き取りなさいよ、月島楓よ」
ツキシマカエデ。異国の名前だ。地獄とかじゃあこういう名前の人が多いのかな?
「この道は昔、地獄の何代目かの王様が奴隷に作らせたものなの、生前罪を犯した人間を歩かせて罪を悔いいるようにね」
「……え? じゃあ何で今馬車に乗ってんの?」
「地獄に来る人が死にまくって問題になったの、それで反乱が起きたの。王様は行方をくらました。これを期にこの道で人間が死ぬのは起きてはいけないこととなったの」
人間が死ぬのはいけないってどういうこと? 地獄なのに人は死ぬの?
その疑問をツキシマさんにぶつけてみた。
「そりゃ死ぬわよ、生きてんだもの当然よ」
「え? 私達生きてるの?」
「魂だけね、さっきあんた達、砂山降りるときに怪我してたでしょ? ここは魂の世界。無茶な事してると死ぬわよ」
「……死んだらどうなるのですか?」
「魂が無くなれば終わりよ、ホントの終わり」
びっくりした、地獄で死ねるなんて。
「あっ、そうそう、地獄は基本的に死ぬことは無いわ魂に傷がついても地獄の力で自然に治癒するから」
「……寿命とかってあるんですか? 一生地獄何ですか?」
「魂は老いない。それに地獄で罪を償ったと判断された場合天国へ行けるわよ」
なるほど、いまいち分からないような気もするが大体わかった。
「あなたは天国の人? 地獄の人?」
「……どっちでもなく天使よ私は」
「…………天使とはあの、その……私達の言う天使と同じですか?」
「あんた達のカルト宗教は私達天使をどんなふうに教えてるのかは知らないけど多分違うわ。私達は神の部下。言うなれば神様見習いってとこよ、神様の手伝いが主な仕事よ私達の場合は死神、あんた達の世界の死者をこっちに連れてきたりこんな感じで人の護衛をしたりするの」
そうだ、ツキシマさんは私達を守ると行ってたな。
誰から? そう聞いてみた。
「あんた達が殺した人間達からよ」
「ああ」
「いつもならこういう護衛は低級天使の役目何だけどあなた達はグループだしあなた達を狙うかも知れない奴らが複数こっちに来るからねそれで私が私の神様に遣わされたの……まあ多分大丈夫よ攻撃されても人間相手に遅れはとらないわ」
「なるほど、そういうこと何ですか」
「他に聞きたい事は?」
「今は特にないです、ね。みんな?」
無いので首を縦に振った。
他の3人も同じようにした。
待ち合い室の扉は開かれた。法律での拘留期間の限界に達したからだ。
そしてワニの頭をした誘導者が行け、と指示する。
待っていた人間は入って行く。
それをマジックミラー越しに見ているフランシッド。
クルクルキャンディを舐めている。
「あのハゲやばそうだな」
フランシッドにハゲと言われた人間の名は伊藤数。見た目はスキンヘッドでキツネのような目をした五十代の日本人男性。暴力団組長だ。
「オレが見てるのに気づいてやがる」
伊藤数はニヤリと笑いフランシッドに手を振る。別れのハンドジェスチャーだ。
伊藤数の部下はそれを不思議そうに見ていた。
クルクルキャンディを噛み切るフランシッド。
バキバキ、と噛み砕く。
「誰も殺させるなよ月島。誰も殺すなよ月島。誰にも殺されるなよ月島」
続く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます