シズノ

 探索者の資格を取った当初、静乃は、軍司と一緒に迷宮に入ることが多かった。

 基本的に隠居の身である軍司は、静乃の存在がなかったとしても毎日のようにシロを連れて〈印旛沼迷宮〉に入っていたし、静乃からみて叔父にあたる順也夫妻は平日は別の仕事をしていて、週末とか休日にしか迷宮に入らない。

 だから静乃としては、祖父である軍司をあてにするしかなかった。

 なんといっても静乃はこの時点でまだ十四歳でしかなく、法律に従えばあとたっぷり四年は十八歳以上の大人が随行していないと迷宮に入ることができないのである。


 軍司がどちらかというと寡黙な、あまり口が達者ではない気質であることもあり、静乃と軍次との間にはそれなりに隔意があった。

 罠猟を手伝わされていたりと、それなりに親しい関係であったのだが、少なくとも険悪なものではないと静乃自身は思っているのだが、なにしろ年齢差が年齢差である。

 太平洋戦争の末期に生まれた軍司はすでに七十を超えており、静乃とはたっぷりと半世紀以上の年齢差が存在をしていた。

 静乃にしてみれば生まれ落ちたそのときからなにかと世話になっている親類ということになるわけだが、だからこそかえって改めて親しく会話をしたおぼえがあまりない。

 例の震災が来るまでは父母や兄など、別の家族といっしょにいることが多かったし、罠猟の手伝いをするときなどに軍司と二人きりになる機会があったとしても、軍司の口は重かったので、実務的なこと以外、ほとんど口に出すことはなかった。

 つい先頃、幕張のテーマパークへの送迎を頼んだときのように、静乃の側からなんらかの頼みごとをすればたいていは快く引き受けてくれることからもわかるように、軍司はどちらかろいえば孫である静乃に甘い祖父であるとは思う。

 だが、静乃にしてみれば軍次は、

「身近な存在であるがゆえに、かえって距離感が掴めない親族」

 であるともいえた。

 多くの人々が自分の両親や祖父、祖母の経歴や過去の履歴にあまり強い関心を抱かない傾向があるわけだが、静乃にしてみても同様であり、軍司がこれまでどのような生涯を送ってきたのか、この時点で静乃は知らないし、知ろうともしていなかった。


 裏の山に入っているときの軍司と、普段の、農作業をしているとき、あるいは家の中でくつろいでいるときの軍司がほとんど別人であったことを、静乃は記憶している。

 仕事中とプライベートのときとでは、纏っている雰囲気が違うことは、別に不思議なことでもなく、多少の差こそあれ、誰にでも見られる傾向なのではないか。

 ただ、迷宮の中にいるときの軍司は、静乃の目には、これまでのどんなときの軍司よりも真剣に見えた。

 真剣な面持ちで遠くを見つめ、指鉄砲を構えて、

「バン、バン、バン、バン」

 と、呟く。

 すると、たっぷり数百メートルは離れた場所にいるエネミーが致命傷を負って地面に転がっている。

 まるで子どもの遊戯かなにかのような光景だったが、その効果、つまりは殺傷能力は紛れもなく現実のものであった。

 軍司の攻撃が終了すると、まずシロが走って行き、静乃がそれに続く。

 シロは、エネミーの死体やその死体に群がって捕食をはじめているスライムを掻き分けてドロップ・アイテムを集めてから、悠々とエネミーの肉を食べはじめる。

 シロはどうやらコウモリなど小型のエネミーの内臓肉を好むらしく、その部位を貪っては残りをスライムの餌にしていた。

 ドロップ・アイテムを回収して〈フクロ〉に収納するのは、静乃の役割だった。

 あまり深層へ進むことに興味を持っていない軍司は、いつでも浅層、というより、第一階層とか第二階層までにしか足を伸ばさなかったが、それでも倒しているエネミーの数が膨大であったので、同じパーティで活動をしている静乃もその余録に預かっている。

 一見してなにもない空間に様々な物品を収納するスキル〈フクロ〉をはじめとして、静乃も数々の実用的なスキルを、迷宮に出入りをするようになってから最初の数日で生やしていた。

 あとで叔父の順也に確認して見たところ、かなり異例の成長速度であるという。

 その叔父の順也は、軍司のスキルの射程範囲についても、

「そこまで遠くに届くはずはないんだかなあ」

 とか、こぼしている。

 順也にいわせれば、ファイヤ・バレットをはじめとするバレット系スキルの有効射程距離は十メートルからせいぜえい二十メートル前後。

 それ以上、遠くのエネミーを攻撃するためには、バレット系とは別のスキルを習得する必要があるという。

「いうても、実際にできるのだから、仕方がなか」

 これについて、軍司は、不貞腐れたような口調で、そういい放つ。


 その軍司が証言するところから、順也が組み立てて推測をしたところによると、

「どうも、ジ様がそういうもんだと思い込んでいたから、スキルもそのような形で発現したんじゃないかなあ」

 ということ、らしい。

「思い込んでいたから、って」

 その推測を耳にしたとき、静乃は即座に問い返していた。

「そんなにいい加減なものなんですか?

 スキルって」

「いい加減というか、実際の効果とかにはかなり個人差があるもんだから。

 同じ名前のスキルでも」

 順也はそんな、わかったようなわからないような説明をしてくれる。

「ボクシングのストレートパンチも、空手の正拳つきも、素人目には区別つかないし実際の効果も同じようだけど、それぞれ勝手に別の名前で呼んでいるわけでしょう?

 それと同じようなもんでさあ。

 スキルの名前も、しょせん便宜上、勝手に名前をつけて呼んでいるだけなんだよ」

「……それじゃあ、鑑定系のスキルとかは?」

 少し考えたあと、静乃はそう質問していた。

「探索者にあれを使うと、持っているスキル名とかわかるんでしょ?」

「その鑑定系スキルを使った人の、知っている言葉で表示されるんじゃないかなあ」

 順也は、自信なさそうな口調でそういった。

「外国の人は、やはり自分の母国語で表示されるそうだし」

 鑑定系スキルの持ち主が知っている概念や語彙の中で、一番しっくりと来るものが表示されるのではないか、という。

「つまりは、ジ様がスキルをそういうもんだと思い込んでおったから、そういう風に生えてきたのではないか、と」

「お前が、指鉄砲のようなもんだ、いうた」

 軍司は、そう口を尖らせる。

「鉄砲いうたら、遠くに届かなくては使いもんにならね」

「いや、そういうても」

 順也は苦笑いを浮かべる。

「四百とか五百メートルとは。

 それではまるで、ライフルでねえか」

「おお、ライフルだ」

 軍司はことなげにいい放つ。

「お前は滅多に帰ってこんから知らねだろうが、十年も前に免許さ取ってライフルも使ってっと」

 静乃は、軍司が農閑期になるとなにやら銃器をかついで山に入って行くことは知っていたのだが、それがライフルと呼ばれるものであることはこのときはじめて知った。

 そもそも静乃は、この年頃の少女らしく、銃器類が用途や射程距離によって様々な種類があることについても漠然としか知らず、軍司の猟銃の種類などについても関心を持ったことがないのだ。

「ま、使えないスキルであるよりは、使えるスキルである方がいいんでないか?」

 順也は、ここか達観したような口調でそう結論をする。

「あるの?

 使えないスキルって?」

 静乃は、すぐに気になった点を質問した。

「使えないスキルっていうか、使いどころがなかなか思いつかないスキルというのは、たまにある」

 順也は、感慨深い表情でそう答えた。

「使い方を理解できさえすれば、かなり使えるスキルであることが多いんだが」

 そういいつつも、この場で具体的なスキル名を出すことはなかった。

 スキルひとつ取っても、必ずしも探索者自身が欲しいスキルばかりが生えてくるわけではなく、たぶんに運任せの要素があるらしかった。


 毎朝早くに、軍司は起き出してマンションを出て行く。

 まず近所にある順也の家によって、そこに預けているシロを散歩に連れ出すのだ。

「こちらでは夏の間は、あちこち日に焼けて熱くなっているからな」

 というのが、軍司のいい分である。

 確かに夏の間、どこへいっても日中はアスファルトが焼けて熱くなっているし、夕方や夜になってもその熱はなかなか冷めてくれない。

 靴も履かない、老犬のシロにしてみれば、確かに早朝の時間を狙って散歩をするのが、一番快適なのかもしれなかった。

 この春先からひどく眠りが浅くなった静乃は、毎朝軍司がマンションを出るのを確認してからモゾモゾと起き出す。

 軍司がそうして外出するのは五時前とかの早朝であり、静乃がそんな時間に起き出したことを軍司が知ると、ひどく心配されてしまうのだ。

 それから静乃は顔を洗い、机にむかって教科書や参考書を開いて勉強をはじめる。

 軍司などはこちらに移って来てから静乃の成績がいきなり良くなったことを不審に思っているようだが、なんのことはない。

 暇な、なにをする気にもならない時間が増えて、その時間を学習にあててみた結果、そうなったのに過ぎなかった。

 震災のおかげで、多くの被災者と同じく、静乃も様々なものを失ったわけだが、なにをしても以前より楽しいとは思えなくなっていた。

 学校でできた新しい友人たちのつき合いとかはまだしも楽しいと感じることができるので、そこまで深刻なものでもないとは思うのだが、やはり静乃の奥底で、決定的ななにかが変化してしまったのではないか。

 眠りは浅くなり、テレビなどをみても前よりは楽しいと思えず、仕方がなく、空いた時間を学校の勉強にあてている。

 軍事にお願いをして迷宮に出入りをするようになったのも、この、なにをしても充実しているような気がしない、虚しさのためであった。

 迷宮という、普通ではない空間でなら、なにか、今の自分を変えるきっかけくらいは掴めるのではないかと、静乃は、十四歳なりに、そう考えたのだ。

 今のところ、そのなにかが掴めそうな気配はまるでないのだが、静乃はそれなりに満足している。

 というのは、スキルの例をみてもわかるように、迷宮という異界自体がすぐに理解できるような単純なものではなく、複雑で不可解な法則によって支配されているからだった。

 叔父の順也にいわせると、軍司について回ったおかげで、静乃自身の能力も、

「初心者とは思えないほどに」

 向上している、という。

 いわゆる、殺傷したエネミーの数と質に応じて身体能力その他が強化されるとかいう、累積効果と呼ばれる現象だったが、静乃自身の自覚はあまりなかった。

 なにしろ、静乃自身が手を下してエネミーを殺すなり害したりした記憶が、数えるほどしかない。

 大抵は、静乃自身が手を下す前に、軍司なりシロなりの活躍に、よって片がついてしまう。

 これまでのところ、静乃の役割はだいたい後始末のみ限られており、せっかく貰った軍司のお下がりのパチンコも、ほとんど使用する機会に恵まれなかった。


「近いうちに一度、戻ることになった」

 盆前のある朝、軍司はそういった。

「例の、家の解体の手配がついた」

 倒壊したままであった、以前に静乃が住んでいた家の撤去作業について、軍司は心当たりの業者に声をかけていたようだが、ようやくその手配がついたという。

 あちらではその手の業者が震災以来繁忙を極めているらしく、なかかな順番が回ってこなかったのだが。

「ジ様も、行くの?」

「行かねばなんね」

 自分で作った味噌汁を啜ってから、軍司はいった。

「家の下さ、猟銃の保管ロッカーがある」

 確実に壊れているとはいえ、それを確認してしかるべきところに残骸を提出するまでが猟銃の管理責任だ、ということだった。

 当然、軍司も撤去現場に行くことになる。

「長くなる?」

「そうさな、長くても、五日かそこいらか」

 静乃は少し考えてみる。

 その前後に、移動の時間もあるわけで。

 軍司ならば当然、自分の車で移動をするだろう。

 それでは、軍司が帰って来る頃には夏休みが終わってしまうではないか。


「したら」

 静乃は、そう口走っていた。

「ジ様が行く前に、わたし、自分のスキルを生やしたい。

 自分でも、戦えるようなスキルを」

「戦えるような、スキルをか」

 軍司はそういって、何事か考え込む表情になった。

「わしも、迷宮だのスキルだのいうことはようわからんが、やれるだけのことはやってやろう」


「七階層さ、行く」

 その日、いつものように〈印旛沼迷宮〉につくと、軍司はそう宣言した。

「あそこのバッタさ、狩る」


 そういう合間にも、顔なじみになった探索者たちが、通りすがりに静乃たちに挨拶していった。

 そうした探索者たちは、主としてシロに声をかけ、毛皮をもふってから去っていく。

 犬を連れて迷宮に入る探索者は軍司くらいなもので、シロはここ〈印旛沼迷宮〉では、探索者のいいマスコットになっていた。

 三十三カ所もある迷宮の中でも、この〈印旛沼迷宮〉は辺鄙な場所にあり、それだけ訪れる探索者も限られている。

 いや、二十四時間トータルで見てみれば、やはりそれなりの人数が利用しているはずなのだが、朝のこの時間に見かける顔ぶれは、だいたい固定していた。


「パチンコさ、持っておるな」

「持っているけど」

 静乃はなにもない虚空から、さっとパチンコを取り出して見せた。

 これまでに静乃が巧みな扱い方をおぼえたスキルは、この〈フクロ〉くらいなものだろう。

「そこさいったら、それ使って片っ端から、バッタさ狩れ」

 軍司はおごそかな表情でそういった。

「玉は、あるか?」

「ええと、五百発のが、一箱丸ごと〈フクロ〉の中に残っているけど」

 なにしろ、使う機会がほとんどない。

 たまにエネミーにとどめを刺す必要ができたときは、静乃は別に持っているナイフを使うことが多かった。

 あるいは、足で踏むかだ。

「なら、もう十箱二十箱、売店で買っておけ」

「そんなにいるの!」

 静乃は小さく驚きの声をあげた。

「その、バッタ」

「おお、仰山いよる。

 十万か、百万か。

 ことによると、もっといるやも知れん」

 軍司は、平然とした表情でそういった。

「その玉、使い果たす前に、なにかのスキルが生えてくるといいの」

 どうやら軍司は、今日は徹底的にそのバッタを狩り尽くすつもりのようだ。


 軍司の〈フラグ〉、すなわち、既知の場所に転移をするスキルを使って、静乃たちは第七階層の通称〈バッタの間〉の前に出る。

「ひっ!」

 そこの光景を見て、静乃は小さな悲鳴をあげてしまう。

 確かに、バッタがいた。

 それも、予想以上に多い。

「虫、苦手か?」

 軍司が訪ねて来る。

「いや、ちょっと驚いただけ」

 静乃は即答をした。

 虫は別に好きでもないが、嫌いとか苦手というほどでもない。

 ただ、ここまで多く、しかもところ狭しとひしめいていると、流石に迫力を感じる。

「これが、〈バッタの間〉かあ」

 静乃が、そう呟いた。

「スキルを生やすのには、ここで同じく攻撃を繰り返すのが一番いいと、順也さいっておった」

 軍司は、淡々とした口調でそういった。

「存分に、狩るがええ」

「え?」

 思わず、静乃は軍司の方を振り返る。

「ジ様、狩らないの?」

「わしは、いい」

 軍司はおごそかな表情で頷く。

「近いし、こげなどこ撃っても当たるようなんは、よく好かん」

 エネミーとの距離が近すぎることと、それに、狙わなくても攻撃が命中するようなエネミーの密度が、お気に召さないようだ。

「じゃあ、シロは?」

「シロは、虫さ、よく食わん」

 当のシロは、その場に寝そべって大あくびをしている。

 すでにご休憩モードに入っているようだった。

「このバッタって、さ」

 静乃はさらに訊ねた。

「攻撃をしたら反撃をするとか、そういうことないよね?」

「前に順也と来たときは、この部屋から出てくることはなかった」

 軍司がうけあった。

「部屋の外から攻撃しておれば、問題はなか。

 いざとなれば、〈フラグ〉さ使って逃げれ」

 静乃自身も、すでに〈フラグ〉のスキルを生やしている。

 軍司と行動をともにしている現状では、滅多に使う機会もないのだが。


「ええっと、じゃあ」

 そういって、静乃はパチンコを構える。

「行きます」


 軍司がパチンコと呼んでいるのは、二股に分かれたアームにゴムを張ってそれを引っ張り、そのゴムにおいた弾丸を撃ち出すという代物で、海外では「スリングショット」などと呼ばれ、競技や狩猟に使われている。

 扱いが比較的容易であることと、それに国内では所持や使用に制限がないことから、公社ではこのパチンコを探索初心者のための遠距離用武器として推奨していた。

 ごく簡単な構造であるのにも関わらず、その威力と貫通力は確かのもので、さらにいえば、現在静乃が使用しているものは、静乃の累計効果に合わせて強いゴムに張り替えている。

 いくら数十センチの巨大サイズとはいっても、たかが羽虫に過ぎないバッタに対して使用をするのには、むしろ過大なほどの威力を示した。

 静乃がまず最初に狙った巨大バッタは、命中するのと同時に爆散する。

「ひっ!」

 と、攻撃をした当の本人である静乃が、思わず声をあげてしまったほどの威力だった。

「ほれほれ、休まずに」

 軍司が、楽しそうな声を出す。

「わかってる」

 むっとした表情で、静乃は次弾を装填して、発車した。

 また一匹、バッタが弾ける。

 それ以降、静乃は黙々と次弾を装填しては発車する、という作業を繰り返した。

 なんといっても、静乃自身が、攻撃用のスキルを欲しがって、こうしているのである。

 一応、その度に狙いをつけてはいるのだが、バッタの方は相変わらずそうする必要もないくらいに密集していた。

 五十匹や百匹くらいを叩き落とした程度では、まるで減っているように見えない。

 そうしながら横目で確認をすると、軍司とシロとは完全にリラックスモードで、軍司などは水筒に入れてきた麦茶などを飲んでいる。

 まあ、いいけど。

 静乃は、黙々とパチンコを撃ち続けた。

 幸いなことに、累積効果のおかげで、この程度では疲れもほとんど感じないようになっている。

 あとは気力と、集中力の問題だった。


「バン!」

 二時間後、ものは試しと指鉄砲を構えて静乃が呟いてみると、指先に親指大ほどの炎が発生し、その直後に光の尾を引いて、狙ったバッタにむかって飛んで行った。

 発生した炎も小さかったが、飛んで行く勢いも、かなり遅い。

 目で追えるほどの、ゆったりとした速度だった。

 その小さな炎が、狙ったバッタの胴体部に直撃する。

 が、体表を少し焦がすほどの威力しかなく、バッタは平然としてそのまま飛び続けた。


「……できた!」

 しかし、静乃は感動をしている。

 威力は小さくとも、ともかくもこれが、静乃がはじめて放った攻撃用スキルでもあることには変わりがなかった。

「したら、今度はそのスキルをしばらく使い続けえ」

 軍司が、のんびりとした声を出す。

「スキルたらいうんは、使えば使うほど、力さ大きくなる」

 そういう軍司自身も、探索者としては経験が乏しい、初心者にすぎないのだが。

 しかし、静乃の耳には、その軍司の声はとても頼もしく聞こえた。



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