ひとちがい #22
時間をかけてハンバーグステーキを平らげ、追加注文したコーヒーも
「クソ、長いな」
小声で
叶はレストランを出ると、コインパーキングからバンデン・プラを出して『カオルプロモーション』の裏手付近に
シートに背中を
叶は
ジャケットの
「何だよこんな時に」
「誰だ?」
『バイトカットされた〜ヒマ〜どこに行けばいい〜?』
「マジか、これはありがたい」
叶は笑みを浮かべながら、『カオルプロモーション』に近い
『なくなったバイトの分ギャラよろしく』
「しっかりしてやがる」
叶は
それから二十分程で、スマートフォンが振動した。今度はすぐ止まらないので電話の
『アニキィ〜
「おぉ玲奈、
「よぉ、悪いな」
叶が
「そんで、アタシは何すればいいの?」
玲奈の
「
叶がスマートフォンの画面に薫の写真を表示して見せると、玲奈は
「誰このオバサン?」
「
答えた叶がスマートフォンをしまって
「芸能事務所?
「オマエな、顔見られたら意味無いだろ」
叶が呆れ
バンデン・プラの近くまで戻った叶は、玲奈を
「このビルの五階にさっきの女性が居る。出入口が反対側なんだが、その
「アニキは何で行かないの?」
玲奈が
「オレは昨日入ってたの。それに今あそこには会いたくない
「もしかして、
「いや、マトリ」
「マトリって何?」
「自分で調べろ。じゃ、頼むぞ」
玲奈の質問をはぐらかして送り出そうとした叶に対して、玲奈が笑顔で
「何だよ?」
叶が訊くと、玲奈が笑顔のまま言った。
「カフェに入るんだから、ね?」
「バイトしてんなら自分で出しとけよ」
「何でよ〜いいじゃん手伝ってあげるんだからさぁ〜、
「何が必要経費だ、何処で覚えたんだそんな言葉」
叶は
「おつりは返せよ」
玲奈は
「しっかりしてやがる」
叶はおつりが返って来ない事を
薫の監視を玲奈に任せている間、叶は駐車禁止の取り締まりを
『飽きた』
叶は
それから三十分程が
「何で戻って来たんだよ?」
「だって〜、アタシひとりで二時間も三時間も居られないじゃ〜ん、何か店員が変な目で見るし、これ以上居たら
玲奈の
「オレはもうちょっと寝るから、何かあったら起こせよ」
「はぁ〜い」
玲奈の気の抜けた返事を聞き流して、叶はシートを倒した。だがそれから五分もしない内に左
「何だよ
文句をつけながら
「あれって社長じゃない?」
「何?」
叶が前へ身を乗り出して目を
「でかした玲奈」
「まぁね〜」
《続く》
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