ひとちがい #20
翌朝、日課のロードワークを行う
「何だ? まさか田中から
殺人事件を目撃してから姿をくらましていた田中が、急に優美子に連絡を取った。しかも海外旅行の提案である。叶の頭に、ひとつの単語が浮かんだ。
もしも田中が
叶は表情を
ロードワークを終えて事務所に戻った叶は、
「仕方無いか」
「あ、ともちんおはよ〜」
「ああ、おはよう桃ちゃん」
「あら、もうお出かけ?」
叶は足を止め、肩越しに振り向いて返した。
「あ、ああ、ちょっとね」
「大変ね〜、朝ごはんどぉするの?」
小首を
「コンビニで買って車で食べるよ」
すると、桃子が箒を壁に立てかけて
「そんな〜、駄目だよともちん、うちで食べて行きなさいよ」
桃子の提案に、叶は目を丸くした。
「え? いや、でもまだ開店前でしょ、悪いよ」
「大丈夫よ、今ちょうど主人が仕込みしてるから、少しくらい分けてあげられるわよ。ね、食べてって!」
言うが早いか、桃子が叶の腕を
「あなた! ともちんこれからお仕事なんだって! 何か朝ごはん作ってあげて!」
「えぇ〜?」
いつもなら桃子の指示を
「はいどぉぞ〜」
「ありがとう」
礼を
十分程
「お待たせ〜。どぉぞ
「ありがとう、いただきます」
受け取った叶は、身体を伸び上がらせて奥の大悟にも声をかけた。
「サンキュー、マスター!」
「どういたしまして」
大悟の返事を聞きながら、叶はホットサンドを口へ運んだ。
朝食を終えた叶はバンデン・プラに乗り込み、『カオルプロモーション』付近へ向かった。恐らくマトリは薫の自宅からマークし続けている筈だ。となれば、薫がマトリを引き連れて出社する前に
昨日よりも
何故か三分近く待たされて
「さて、第二ラウンド開始だ」
ポテトを完食し、二杯目のホットコーヒーを
「アイツ、昨日の」
それは叶の
《続く》
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