ひとちがい #13
翌朝、日課のロードワークを終えて事務所に戻った叶は、ジャージからスーツに着替えるとスマートフォンを
「あ、ともちんおはよ〜」
トレーを抱えた桃子が歩み寄って
「サンドイッチ盛り合わせでいい?」
「ああ、頼むよ」
「あらイケメ〜ン! だぁれこの人?」
「
叶が
「ウッソォ〜? そぉなんだ〜、だからイケメンって信用できないのよね〜。あ、ともちんは別だけどね!」
笑顔でフォローすると、桃子は新たな来客に対応する為にその場を離れた。苦笑した叶は、入手した田中忍の顔写真を優美子に
叶がサンドイッチ盛り合わせを完食して、付け合せのコーヒーを飲んでいると、内ポケットの中でスマートフォンが振動した。見ると、優美子からのメールが来ていた。
「早いな」
『おはようございます
メールありがとうございます
私がお付き合いしていた狩野さんはこの人で間違いありません
お手数おかけして申し訳ありません
引き続きよろしくお願いします
木暮優美子』
初めて優美子の
狩野から提供された情報を元に、叶はバンデン・プラで田中忍の自宅へ向かった。住所は都内だが限り無く
五分程で
「やっぱり帰ってないか。または引っ越したかもな」
「それは
「久しぶりだね、叶君」
微笑しつつ言う石橋に、叶は動揺を
「一課のデカがこんな所で何やってんだ?」
「相変わらず態度が悪いなこのヘボ探偵! 口の聞き方に気をつけろ!」
横から
「悪いけど、話聞かせてくれないか?」
叶は断ろうと口を開きかけたが、その
「いいぜ。
「判った。じゃ、場所変えようか」
四、五分程歩いた先にあった小さな公園に足を向けた石橋は、出入口で足を止めると松木に小銭を渡し、飲み物を
「言っとくがお前に選ぶ権利は
「早く行けよパシリ」
「何だとテメェ! 覚えてろよ」
「あの
叶が
「叶君、田中忍に何の用なんだい?」
この質問で、田中忍が
「探してるんだ、依頼でな」
「誰から?」
「
石橋の更なる質問をかわした叶が、返す刀で訊き返した。
「そう言うアンタ等は、何で田中忍の自宅を張ってる? 人でも殺したのか?」
警視庁に限らず、捜査一課と言えば殺人事件を扱う部署なのは誰でも知っている。その一課に属するふたりが来ているのだから、殺人事件の捜査の
石橋も少し間を置いてから答えた。
「彼は、ある殺人事件を
《続く》
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます