ひとちがい #10
叶が『HAGANE』を出て階段を上り切ると、建物の外には開場待ちと
出迎えたウェイトレスの案内で奥の二人掛けの席に通された叶は、壁を背にして着席するとメニューを開きつつスマートフォンを取り出して、改めてライヴの開始時間をチェックした。『HAGANE』のホームページによれば、午後五時三十分開始らしい。ライヴ自体は長く見積もっても一時間半くらいで終わると予想し、
クラブハウスサンドを完食し、コーヒーを四杯飲んだ叶が腕時計を見ると、やっと五時を過ぎた所だった。夕方になり、店内の人口
叶は地下駐車場からバンデン・プラを出し、時間潰しついでにコインパーキングを探して最寄り駅周辺を走り回った。幸い、七、八分走った所で空いているパーキングを見つけたのでバンデン・プラを入れた。エンジンを止めた叶は、運転席を出ずに腕組みをして考え込んだ。
『Pairingtact』で狩野リョウの名を
もしかすると、優美子よりも高額の金を引き出せそうな女性を見つけて乗り換えたか?
頭の中で
出入り口のすぐ脇に長方形のテーブルが置かれ、今日の主役であるRANKOのCDやグッズが販売され、こちらでも列が形成されていた。叶はトイレに入って用を足し、カウンターにピックを差し出してアイスコーヒーと交換すると、既に多くの客が入っているホールに足を踏み入れた。照明を落としたステージ上では、スタッフが楽器のチェックを行っていた。叶は目立たない様にホールの後方に立ち、アイスコーヒーを
開演十分前になり、舞台裏からマイクを通じて注意事項等を知らせる
『盛り上がって行くよ!』
RANKOの煽りに観客達も喚声で
《続く》
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