ひとちがい #6
アミリは困惑する叶を無視して立ち上がり、小走りに寄って来た優美子を出迎えた。
「ごめ〜ん優美子、こんな時間に呼び出しちゃって」
「ううん、大丈夫。こちらこそごめんね」
叶は
「それより、電話でも言ったけど見つけたよ、あんたを
「本当、に?」
「本当だって、あんたが言ってた
気取ってる、と
「ホラ! こっち向いて優美子に謝れ!」
叶は扱いの悪さに嫌気が差しながらも、優美子の
改めて
叶の顔を見た瞬間、優美子の
「ごめん栞菜、人違いだよ」
「え! 違うの!? あちゃ〜ごめ〜ん」
優美子の回答を聞いたアミリがまたしても合掌して
「本当、ごめんなさい! 人違いだって。完全にあたしの早とちりでした〜」
あまりの顔の近さと、それに
「わ、判ってくれりゃいいんだよ」
続けて、アミリの横から優美子が言った。
「あの、私からも謝ります、御迷惑をおかけしました」
コーヒーを飲むタイミングを
「じゃ、もうお引き取り頂いて大丈夫ですから。あ、コーヒーのお代は約束通りお支払いしますから御心配無く」
「は?」
口調は
「ちょっと待てよ、こっちは君に関節まで極められて痛い思いしてんだぜ、それで人違いだったから帰っていいって、そりゃないだろ」
「それは、そうだけど」
何故か不満そうに
「本当にごめんなさい、私が栞菜に
叶は鼻から大きく息を吐き出してからコーヒーをひと口
「こんな目に
「え?」
アミリと優美子がユニゾンする前で、叶は名刺入れを取り出して中から名刺を一枚抜き、テーブルに置いた。
「オレ、探偵なんだ。良かったら、話聞かせてくれるかな?」
「探偵?」
再びユニゾンしたふたりが、名刺を見下ろして関心した様に頷いた。叶はリアクションを面白がりつつコーヒーを飲み干し、呼び出しボタンを押してウェイトレスを呼んだ。
「取り
アミリに食事を
「それで、君が探してる方のカノウってのは、どんな男?」
優美子が口を開きかけた
「
「けっ、こん、
叶が両目を見開いて、アミリと優美子を見返した。
《続く》
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