ひとちがい #3
数秒の間が空いて、扉の内側から重い金属音が聞こえた。
叶が恐る恐る
口を開きかけた叶を
「当店は会員制です。会員証及び
想定通りの文句を聞いた叶は、若干
「滔星か、いや、総業の、武藤さんの紹介で来ました、叶と言います」
ほぼ
扉の内側で、
「少々お待ちください」
直後に扉が閉められ、中からチェーンを外す音がした。改めて扉が開くと、今度はほぼ全開になった。
「どうぞ」
「ありがとう」
男性の
店の最も奥、バーカウンターに近い席に通された叶は、壁を背にして
カウンターの左側に濃い茶色の扉が
女性は先導の男性に何やら言付けると、叶の左前に腰掛けて
「はじめまして叶様、ようこそいらっしゃいました。私、店主の
伽那が着物の袖から名刺を取り出して叶に差し出した。叶は名刺を受け取りつつ、自分も名刺を出すべきか迷ったが、出すのは
「申し訳ない、今名刺切らしてて」
通り
「お飲み物は、
「あ、じゃあ、水割り」
「かしこまりました。今、女の子を呼びますのでお待ちください、では失礼致します」
伽那が
「こんばんは〜」
「はじめまして〜」
叶を
「お客さん、何なさってるんですか〜?」
叶の左側から莉杏が質問した。口調こそ若干の
「仕事? あ、ああ、まぁ、自営業、かな」
またも適当に誤魔化す叶の前に、ウイスキーのボトルと氷を
「お待たせしました、どうぞ〜」
叶は笑顔で受け取ると、ふたりにも飲む様に促した。
「じゃ、お言葉に甘えて」
頷いた莉杏が先に自分の水割りを作り、春奈も続く。
「では、カンパ〜イ」
莉杏のかけ声で、三人はグラスを合わせた。叶は水割りを口に運び、何年かぶりに飲む酒を味わった。
それから
「この店に、アミリって
《続く》
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