ひとちがい #2
武藤の口から飛び出した『妹』と言う単語に、叶は反応せざるを得なかった。椅子から腰を浮かすや
「
叶の食いつきぶりに、武藤はやや顔を引きつらせながら言った。
「おいおい、ちょっと落ち着けよ、あんまり騒ぐと面会止められっちまうぞ」
叶は更に何が言おうとしたが、本当に面会中止になっては来た意味が無くなってしまうと考え直し、咳払いと共に椅子に戻った。
「麻美は、オレの妹は何処に居るんだ?」
武藤は薄ら笑いを浮かべて視線を
「いやまぁ、それなんだがよ、お前ん所のドアに貼ってあった写真見た時に、どっかで見た事ある様な気がしたんだけどよ、それがなかなか思い出せなくてな」
「前置きはいいから早く教えろ」
「それが三日くらい前に急〜に思い出したんだよ。何でかは判らんけど」
「何処だ?」
「本町の『リベラ』ってクラブだ。確か『アミリ』って名乗ってた」
「リベラだな」
店名を繰り返して腰を浮かせた叶に、武藤が
「あくまでも似てる気がする、ってだけだ、あんまり期待しないでくれよ」
「ああ、判ってる」
頷いた叶は、武藤を横目で
もう、九年が
今まで、探偵の仕事と『熊谷ボクシングジム』でのトレーナー業の合間を
ともかく、そのアミリと言うホステスに会って確かめなければならない。
叶は足早に拘置所を出て、近くのコインパーキングに
叶は事務所へ戻る途中でコンビニエンスストアに寄り、弁当と缶コーヒーを購入した。今の精神状態で『喫茶 カメリア』に入ったら、今日聞かされた事を桃子や大悟に話してしまうかも知れない。まだアミリが麻美だと確認できていない状況では、
月極駐車場にバンデン・プラを停めた叶は、桃子に
叶が目を覚ますと、外は
身体を起こした叶は、飲みかけの缶コーヒーを取り上げて一気に飲み干し、外したネクタイを持ってパーテーションの向こう側へ入った。より濃い色のネクタイを選んで
給湯室を出た叶は、顔を
『クラブ リベラ』に入れば酒が入る事は確実なので、叶はバンデン・プラに乗る事を
大勢の人々で
「結構な高級クラブだな、さすがに腐ってもヤクザの組長か」
小声で吐き捨てると、叶は
エレベーターを出ると、
息を
《続く》
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