友情遊戯 #7
西条に連れられて叶が入ったのは、『
先に立って進む西条は、カウンターの中で
「おやっさん、元気?」
「おー西条さんか、今日はキチンとお代払ってくれるのかい?」
店主の切り返しに苦笑しながら、西条は店の奥のテーブル席に取り付き、先に椅子を引いて腰を下ろした。叶は軽くかぶりを振って、西条の対面に座った。
「
叶が皮肉を込めて言うと、西条は笑顔で返した。
「まぁ店構えはこんなんだけどさ、味は保証するぜ」
そこへ、若い女性の従業員が水の入ったグラスをふたつテーブルに置きながら、西条に抗弁した。
「何よこんなんって!? 嫌なら来なくて
「いや、
西条が慌ててフォローするが、瞳は無視して仕事着のポケットから伝票とペンを取り出し、叶に向かって訊いた。
「何になさいますか?」
叶は店内を見回し、カウンターの上にメニューが書かれているのを見つけて、ひと通り見てから瞳に告げた。
「えっと、チャーシューメンと、
「かしこまりました」
「あ、己は――」
「半チャンセットですね~」
口を
「チェッ、つれねぇな」
悪態を吐きながら煙草を咥える西条に、叶が問いかけた。
「で、医療ミスってのは何なんだ?」
「まぁそう慌てんなよ、まずはメシ食おうぜ」
気楽な調子で返してライターを取り出した西条の口から煙草を奪い、叶は小声ながらも強い口調で詰め寄った。
「いいから話せ、オレはオマエほど
「んだよせっかちだな、判ったよ」
呆れ顔で言ってから、西条は水をひと口飲んで話し始めた。
「
「曖昧な言い方だなオイ」
叶の指摘に、西条は口を
「仕方ねぇだろこちとら
西条のボヤきを聞き流して水を飲み、叶は目で先を
「まぁそれで、病状が良くないってんで手術する事になった訳だ。で、その手術を担当したのが研修を終えたばっかりの新米医師だった」
「新米? そんな簡単な手術だったのか?」
「手術の
「裏?」
叶が訊き返した所へ、瞳がラーメン
「お待たせしました、チャーシューメンとラーメンです。半チャーハンと餃子、もう少しお待ちくださいね」
話の腰を折るタイミングでやって来たチャーシューメンに困った様な視線を向ける叶に対し、西条は顔を
「待ってました、いただきます」
盛大に音を立てて麺を
「……
「だろ?」
叶の感想を耳ざとく聞きつけた西条が、麺を
《続く》
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